コーニングがバイオシムを買収
大資本のバックアップで開発を強化
1992.06.08−米国CCS(コンピューターケミストリーシステム)ベンダーの大手、バイオシムテクノロジーズ社(本社・カリフォルニア州、ケビン・ロバーツ社長)が、このほど米化学会社のコーニング社に買収された。金額は明らかにされていないが、買収手続は約3ヵ月で完了する見込み。今後、バイオシムはコーニングの100%子会社となるが、独立の企業として存続し、ロバーツ社長以下の経営陣もそのまま残る。バイオシムはかねてより、長期的な開発投資・研究投資を行うためにパートナーを探していた。今回、大資本のバックアップを得たことで、市場でのポジションはさらに強化されたといえそう。
バイオシムは、昨年夏ごろから長期的な資金調達のためのパートナー探しを開始していた。同社は1984年に設立されたCCSベンダーで、とくに分子動力学法に造けいが深く、たん白質やポリマー、触媒、材料設計分野などへの応用技術で業界をリードする存在。3年前から利益を出し始め、以来毎年、売り上げ・利益の記録を更新しているという。従業員数も200名を越えており、事業が急拡大していることや、とくにCCSの基礎研究に大規模な投資を図りたいという意味から提携相手を求めていたもの。
一方、コーニングはかねてよりテレコム事業部門を設立して情報分野に進出、CCSを含めた科学情報サービスという観点で、市場の急速な拡大が見込めることから、参入の意図を暖めていた。
今回、コーニングは基本的にバイオシムの戦略に口を出さないことになっている模様で、バイオシムの経営陣には変化がなく、コーニング側の役員派遣も見送られている。日本市場については、1987年から菱化システムおよび三菱商事を総代理店とする関係が続いているが、これもまったく変わらない。これまで通りの販売・サポートが行われていく。
米CCS業界では昨年来、ポリジェンとモレキュラーシミュレーションという大手ベンダー同士の合併劇がみられるなど、事業規模がベンチャーの域を脱しつつあり、今後も大きな再編が起こる可能性がある。