富士通がNT対応小型HTSシステム

テカン製小型アッセイロボットと統合

 1998.07.06−富士通は、新薬探索の新手法として注目されているハイスループットスクリーニング(HTS)システムの普及を促進させるため、ウィンドウズNTで動作するコンパクト型のパッケージを製品化し、スイスのアッセイロボットメーカーであるテカン社の小型HTSロボットとの高度な統合を実現させた「RS3(キューブ)HTS・フォア・テカンワークステーション」(商品名)の提供を開始した。HTSは、欧米の大手製薬会社が4−5年前から一斉に導入をはじめた技術で、国内でも大手メーカーにはほぼ需要が一巡しつつあり、中堅クラスへの普及・浸透が懸案となっていた。同社では、今回の製品を研究室レベルでも利用可能なミニHTSシステムとして売り込んでいく。

 HTSは、自動化された大量のスクリーニング実験を通して新薬の候補化合物を効率良く探索しようという考え方で、膨大なスクリーニングデータと化合物情報を格納・管理する情報システムが不可欠。富士通は、英オックスフォードモレキュラーグループ(OMG)と共同で専用のデータベースソフト「RS3 HTS」開発し、これまでに国内で6−7社(世界30数社)の実績をあげている。

 最近では、中堅製薬会社にもHTS技術への関心が広がりつつあるが、既存のシステムはロボット/情報システムともに大規模で高額であり、リーズナブルな小型システムへのニーズが高まってきている。

 同社では、テカン社が新発売した「GENESISワークステーション」といったミニHTSロボットに注目。専任技術者をテカン社に送り込んで、ロボットの制御プログラムにまで踏み込んだ連携機能を開発して「RS3 HTS」に組み入れた。このため、ロボットのバーコード管理機能と完全に連動した情報処理が行えるようになり、大量のアッセイ用試料に付随するデータも再入力なしでデータベース管理することができるようになった。

 さらに、従来のUNIX版をNT版に移植したことにより、ハードウエアのコスト低減を実現。ソフトウエアパッケージ価格は、クライアントが2ライセンス固定で1,200万円。