米MSIがファンクショナルジェノミックスコンソーシアム
ゲノム解析をアウトソーシング
1999.12.13−米国の大手コンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーであるモレキュラーシミュレーションズ(MSI)は、アミノ酸配列のホモロジー検索からたん白質立体構造の予測、そのたん白質の機能推定まで、新薬を開発するためのジェノミックス研究の一連の作業をアウトソーシングする新サービスを開始する。ユーザーは、知りたいたん白質が含まれたゲノム情報をMSIに提供するだけで、最先端ソフトを利用して解析された結果を受け取ることができる。「ファンクショナルジェノミックスコンソーシアム」の名称で会員を募集し、来年から本格的に立ち上げる予定。国内では総代理店の菱化システムを通して提案活動を開始しており、費用は年間3,000万円から。
MSIは、これまでも最先端のCCS開発でコンソーシアムを運営してきたが、今回のプロジェクトの狙いは新しいソフトを開発するのではなく、すでに確立されているソフト技術を駆使してサービスを提供することにある。バイオベンチャーである親会社の米ファーマコピアは特定ユーザーとの委託研究で新薬候補のリード化合物を探索するサービスを行っており、MSIの新コンソーシアムはその中間的な色彩のサービス内容となっている。
実際に利用されるソフトは、「ホモロジー」「SeqFold」「モデラー」「プロファイル3D」「バインディングサイトアナリシス」などで、それぞれすでに市販されているもの。ただ、全体が新薬ジェノミックス研究のワークフローに沿って「ジーンアトラス」の名称で統合されており、ゲノム情報をもとにした大量データ解析に対応しているのが特徴。
MSIは、ユーザーの配列データをこのシステムで処理して、対象たん白質の機能や活性部位を予測した結果をユーザーにフィードバックすることになる。例えば、たん白質のBSAモジュールの機能予測で、金属原子がある小さな部位に結合することでたん白質の機能が発現することや、ATP反応が起こる部位を特定したり予測したりする。
会員企業は、公共のゲノム関連データベース(DB)およびコンソーシアムが所有するプライベートゲノムDBにアクセスできるとともに、年間5万ORF分(大腸菌の全ゲノムは約4,000ORF)のアウトソーシングサービスを受けることができる。また、ジーンアトラスを自社内で利用するオプション契約を行うことも可能。