富士通のネットラボラトリーに新キャラクター
猫型エージェントのアルベルトがサイトをガイド
2000.08.04−富士通の科学者向けポータルサイト「ネットラボラトリー・ドット・コム」(http://www.netlaboratory.com/)に、ガイド役を務める新キャラクター「アルベルト」が登場した。知識ベースに基づいて状況を判断し、適切な処理を自ら実行する機能を持つ“エージェント技術”を利用したもので、いろいろな話題でユーザーに話しかけたり、おすすめ情報を提供したりしてくれる。文字コンテンツが中心のネットラボラトリーに彩りを添えるキャラだが、今後さらに機能が充実すれば、役に立つ存在になりそう。
猫型エージェント「アルベルト」の本名は、アルベルト・イジドール・ヒエロニムスで、ドイツ北部のブレーメンの骨董屋に生まれ、いまは横浜の馬車道近く(作家・島田荘司創作の名探偵御手洗潔の事務所の近所だとか)で骨董屋を営むかたわら、ネットラボラトリーのガイドを務めているというプロフィールが設定されている。人間でいえば、40−50歳くらいの年齢で、自分のことを「わし」という。趣味は古代魚の研究、バッハを聴き、本を読むこと。とくに「ボック・イム・シュタイン」ビールに目がない。
名前の由来は不明だが、イジドールは19世紀後半のシュルレアリスム(超現実主義)の始祖であり、ロートレアモン伯爵としても知られるイジドール・デュカスにちなんだものかもしれない。また、エウセビウス・ヒエロニムスは4−5世紀の聖書学者で、聖書全巻のラテン語ウルガタ訳を完成させた人物として有名だ。
さて、このアルベルトをデスクトップに呼び出すには、あらかじめネットラボラトリーのサイトからエージェントプログラムとアニメーションファイルをダウンロードして、自分のパソコンにインストールする必要がある。この過程はほぼ自動で行われるので、迷うことはない。ダウンロード時間は15分から30分程度だろう。
エージェントプログラムをインストール後、ネットラボラトリーのトップページにある猫型アイコンをクリックすると、「アルベルトの研究室」ウィンドーが開く。研究室内のアイテムには色が付いたものがいくつかあり、それらが現時点でアクティブな機能となっている。例えば、椅子をクリックするとアルベルトを呼ぶことができるほか、ノートパソコンはアルベルトが自己紹介をする「プロフィール」、本棚の本はネットラボラトリーの案内をする「ガイド」、壁のポスターは最新ニュースを表示する「ニュース」と「お知らせ」−となっている。
部屋の中にはまだまだ色の付いていないアイテムが多く、これからどんどん機能が拡張されることになりそうだ。
また、アルベルト自身を右クリックしてポップアップメニューを出し、そこから命令を与えることもできる。ネットラボラトリーの「バイオインフォマティクス」「マテリアル」「CAE」「HPC」の各研究室への移動や、アルベルトが頻繁に話しかけてくるか静かにしているかなどの設定も可能。ただ、アルベルトは「ふにゃー」などの声は出すが、しゃべるのは吹き出しの中の文字だけなのが残念だ。最近ではインターネットを通じた音声合成技術も当たり前なので、人間の言葉で話すようになることを期待したい。
現時点では、会話のパターン、アニメーションパターンともに少なく、それほど役に立つ存在というわけでもないが、知識ベースがもっとこなれてきて、ユーザープロファイルなどをきめ細かく把握できるプレミアム会員制度がスタートすれば、おもしろいエージェントに育つ可能性があるだろう。