日本HPが新型グラフィックボードを開発
NTおよびUNIX機に搭載して販売
2000.07.05−日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は、UNIXおよびウィンドウズNTワークステーション用の新型グラフィックボードを開発、これを搭載したシステムの販売を開始した。ウィンドウズNTマシンに装着する「HP VISUALIZE-fx5/fx10」と、UNIXマシンに装備できる「HP VISUALIZE-fx5 Pro/fx10 Pro」があり、それぞれミッドレンジとハイエンドのグラフィックを実現している。グラフィックアーキテクチャーを一新しており、以前からのCADなどの処理に加え、CG(コンピューターグラフィックス)制作に適したパフォーマンスを発揮できるようになった。
新グラフィックボードは、3次元の座標変換を行うジオメトリーエンジンに浮動小数点演算能力に優れた“PA-RISC”(PA8000)を採用しており、パイプラインとして「fx5/fx5 Pro」で3本、「fx10/fx10 Pro」で6本を実装した。また、ラスター/テクスチャー/ディスプレーの3エンジンがワンチップ化されており、協調動作しつつ共通のグラフィックメモリーをアクセスできるようになっている。
以前のグラフィックボードは、ラスターエンジンとテクスチャーエンジンのチップが独立しており、それぞれ個別のフレームバッファーメモリーおよびテクスチャーメモリーにアクセスしていた。どちらかというと、CADなどのアプリケーションに向いていたが、今回のものは最大64メガバイトまでの大容量メモリーを利用できるので、CGなどの処理にも適しているという。
ハードウエアでの3次元テクスチャーマッピング、リアルタイムシャドー、ハードウエアに実装された高速アキュームレートバッファーなどの特徴があり、とくに大規模なモデルを扱ったときの描画性能に優れている。以前のボードとの比較では、fx5系で30%、fx10系で15%の高速化を実現した。インターフェースは、NT用がAGP×2、UNIX用はPCI×4。
グラフィックライブラリーはOpenGLが中心だが、UNIX用は既存アプリケーション資産を継承するため、PHIGS、PEX、Starbaseなどの古いライブラリーもサポートしている。
このボードは単独では販売されず、システムに組み込んだ形でユーザーに提供される。標準構成のシステム価格は、fx10モデルが131万5,000円、fx5モデルが109万5,000円、fx10 Proモデルが411万6,000円、fx5 Proモデルが139万2,000円。UNIX用に関してはボードのアップグレードに対応しており、その際のオプション価格はfx10 Proが124万円、fx5 Proが46万5,000円となっている。ボード価格としては、以前のものより半額近くにコストダウンされているという。なお、NT用はシステムごと買い替えることを推奨している。