富士通がMOPAC2000最新版1.3を発売
グラフィック機能追加、MOPAC−MOS-F連続処理も可能
2000.11.11−富士通は、量子化学理論に基づいて分子の電子状態などを解析できる分子軌道法ソフト「MOPAC2000」の最新版バージョン1.3を販売開始した。計算機能を強化したほか、富士通研究所で開発した分子グラフィックソフト「xmo」をバンドルするなど、操作性も向上している。また、ウィンドウズ版は「WinMOPAC 3.0 Pro」の名称で新発売される。ライセンス価格は、バージョン1.3が80万円(教育向け40万円)、3.0 Proが60万円(同30万円)。
富士通のMOPAC製品は、ソルバープログラムとしてのMOPAC2000と、グラフィック付きのウィンドウズ版WinMOPACに分かれている。ソルバー製品はコマンド打ち込みによる操作が基本で、計算結果も数字で出力されるが、今回のMOPAC2000バージョン1.3ではUNIX用の分子グラフィックソフトxmo4.0がバンドルされているので、分子軌道や電子密度の表示、遷移状態のアニメーションなどが可能になり、計算結果を理解することが容易になった。
また、MOPAC2000は、半経験的分子軌道法の定番であるMOPAC97、たん白質などの巨大分子に対応したMOZYME、分子の励起状態を解析できるMOS-Fの3種類のソルバーを内蔵しているが、今回初めてMOPAC97からMOS-Fへの自動連携処理プログラム「m2k 1.0」を提供。計算対象の分子の構造最適化をMOPAC97で実行したあと、紫外線吸収スペクトルをMOS-Fを使って予測するといった一連の処理が自動的に実行できるようになった。
そのほか、バージョン1.3では、メモリー使用量を約40%削減できるダイレクトSCF法のサポート、巨大メモリーを効率良く使用するためのメモリー管理方法の改良、遷移状態を起点に反応の順方向/逆方向の計算を連続的に行えるようにするIRCキーワードの拡張、モリブデンパラメーターの追加、MOS-Fで溶媒効果を考慮した計算を可能にするために70種以上の溶媒種データを内蔵−などの機能強化を図った。
一方、WinMOPAC 3.0 Proは、現行の同3.0のソルバー機能をMOPAC2000バージョン1.3対応にしたもの。3.0では計算できる原子数が200個までに制限されていたが、3.0 Proはそれが無制限となっている。3.0は分子軌道法計算の入門用で価格も10万円と安い。このため、今後も3.0と3.0 Proを併売していく。
なお、旧バージョンからのアップグレードに関しては、MOPAC2000バージョン1.3は40万円(教育向け20万円)。WinMOPAC 3.0 Proについては、WinMOPAC3.0以前からのアップグレードは50万円(同25万円)、ウィンドウズ版MOPAC2000からは20万円(同10万円)。ただし、12月10日まではキャンペーン期間として、それぞれ35万円(17万5,000円)、15万円(7万5,000円)で提供する。