米アスペンテック、メアリー・パレルモ上級副社長インタビュー
3つのバリューチェーン、プロセス産業向けe戦略を強化
2000.10.20−プラントの制御・最適化からサプライチェーンマネジメント(SCM)まで、プロセス産業専門の包括的ソリューションプロバイダーである米アスペンテクノロジーズ(アスペンテック)は、昨年の秋から今年にかけてeビジネス戦略を重点的に強化し、インターネットに対応した企業買収や技術・資本提携を相次いで実施してきている。もともと化学工学関係のシミュレーションソフトメーカーとして出発した同社だが、いまや事業内容は一変している。「私たちはプロセス産業における3つのバリューチェーンを重視している。そのポイントにインターネット技術やeビジネスがある」と述べるメアリー・パレルモ上級副社長に新戦略の狙いを聞いた。
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− ここ数年、アスペンテックは企業買収で事業範囲を拡大してきたが、昨年の秋からはとくにインターネット関連の買収や提携が目立ちますね。
「昨年秋にエクストリシティと提携し、基盤となるB to Bのためのソフトウエア技術を入手しましたが、アスペンテック全体がeビジネスの方向を向いたのは今年2月に行われたイベントのアスペンワールドからです。ここで、私たちの持つIT(情報技術)のすべてをインターネット対応とすること、しかしあくまでもプロセス産業に特化しつづけることなどの基本的なポリシーを打ち出しました」
「私たちはプロセス産業に大切なバリューチェーンを3つに定義しました。すなわち、プロセス設計/シミュレーションを中心にしたエンジニアリングのバリューチェーン、プラントのオンライン最適化運転を中心にしたマニュファクチャリングのバリューチェーン、需要予測から生産計画、物流までのサプライチェーン−の3つです。アスペンテックの全製品はこれに沿ってマッピングされており、しかもすべてがインターネット技術をベースにしています」
− 最近の戦略提携について教えてください。
「今年の3月にeケミカルズ(e-Chemicals)に資本参加しました。基礎化学品のネット取り引きを目的にした組織で、アスペンの技術を標準的に取り込んでもらいたいと思っています。ケムリンク・ドット・コム(chemlink.com)も立ち上がったばかりのサイトですが、ここには技術提供をしています。物流と輸送がメインです。ペトロバンテージ(PetroVantage)は9月に発足したばかりのコンソーシアムで、アスペンの専門技術を生かす形で参加しました。また、ケムクロス(ChemCross)はアジアのeコマースサイトでアスペンのSCMやeエンジニアリング技術を導入しています」
− 日本国内においてはそれらの事業をどのように展開するのですか。
「日本法人のアスペンテックジャパンを中心に、キーになる顧客とタイアップして、まずサクセスモデルを構築していくことになるでしょう」
− その際にユーザーが注意すべき点はなんですか。
「まず企業として変化を受け入れて対応するという姿勢が大切です。次に変化に対応するスピード。そしてeビジネスを具体化する際にはインフラづくりにポイントを置くべきでしょう」