R&D支援システム特集:ケイ・ジー・ティー

量子化学/分子軌道法プログラムで実績伸ばす

 2001.03.23−ケイ・ジー・ティー(KGT)は、非経験的分子軌道法を中心とした計算化学ソリューションの提供に力を入れている。計算が高速で大規模な系を扱える米キューケム社のab initioプログラム「Q-Chem」、蘭サイエンティフィックコンピューティング&モデリング社(SCM)の密度汎関数法(DFT)プログラム「ADF」をそろえており、大学などのアカデミック市場を含めて積極的に売り込んでいく方針だ。

 同社は、計算化学や材料設計分野を得意とするベンダーで、米モレキュラーシミュレーションズ(MSI)の統合分子モデリングシステム「CERIUS2」「マテリアルスタジオ」を主力商品としている。これに加えて、最近注目しているのが量子化学計算の世界で、Q-ChemとADFを中心に実績を伸ばしている。

 Q-Chemは最新のアルゴリズムの採用により、数100原子オーダーの大規模分子を実用的に計算可能としたシステムで、最新版のバージョン2.0が昨年秋から提供されている。触媒などの材料系にまで計算範囲が広がったことが特徴。Linuxやウィンドウズなどのパソコン環境にも対応しており、画像表示を行うためにウエーブファンクション社のSPARTANとの統合が進む計画になっているという。

 一方のADFはアムステルダム大学などで開発されたDFTプログラム。Q-ChemやGAUSSIANなど、いまや著名な分子軌道法ソフトはほとんどがDFT機能を持っているが、それらの多くはハートリー・フォック法を基本にDFTを後づけしたものであるのに対し、ADFは最初から純然たるDFTプログラムとして開発された。日本で人気があるMSIのDmolよりもたくさんの物性を出力できるのも利点で、金属錯体分子を対象にした研究に最適である。

 このほか、加ハイパーキューブ社のパソコン版モデリングソフト「HyperChem」を教育用途に展開する計画もある。低価格と使いやすさを生かして、高専などへの導入を促進していきたいという。このため、今年は日本語の演習書の制作にも取り組む考えだ。