アクセルリスとサンが髄膜炎菌の3DアノテーションDBを作成

全たん白質の70%をカバー、新たに300個以上の機能を解明

 2001.08.20−コンピューターケミストリーシステム(CCS)大手の米アクセルリスと米サン・マイクロシステムズは、髄膜炎菌Neisseria meningitidisの3次元プロテオーム(全たん白質)マップを共同で作成した。約200万塩基対からなる髄膜炎菌ゲノムを解析し、全遺伝子の70%に3次元アノテーションを付けたもので、サンの大規模サーバー「Sun Enterprise 6500」とアクセルリスのバイオインフォマティクスシステム「GeneAtlas(ジーンアトラス)」を利用して実現した。髄膜炎や敗血症の治療または予防のための新薬ターゲットの探索に役立つという。

 髄膜炎菌は、全ゲノムが解読されている微生物の一つで、そのDNA塩基配列は220万−230万塩基対のサイズがあり、その中に約2,000個の遺伝子が含まれている。

 アクセルリスでは、サンの大型データセンターサーバーSun Enterprise 6500(24プロセッサー)を使用し、GeneAtlasの最先端のたん白質アノテーションツールを使って髄膜炎菌ゲノムを解析した。たん白質の機能を解明するためのマルチプルアノテーション手法を採用することにより、新しく300個以上のたん白質の機能を解明することができた。これまでの手法では54%の遺伝子にアノテーションを付けることが限界だったが、GeneAtlasにより70%のアノテーション付けが可能になったことになる。

 また、このツールにより、医薬のターゲットをさらに有効にするためにどんな実験を行うべきかの指針が得られるという。これまでに、膜たん白質や鉄依存調節たん白質、リポたん白質などに適用された実績があるようだ。

 今回の結果に基づく髄膜炎菌データベース(DB)は、GeneAtlasから利用できる「AtlasStore」に統合される予定。ここにはマイコプラズマ(Mycoplasma genitalium)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、大腸菌(Escherichia coli)、センチュウCエレガンス(Caenorhabditis elegans)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、超好熱性細菌(Aquifex aeolicus)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、メタン細菌(Methanococcus jannaschii)、ライム病の病原スピロヘータ(Borrelia burgdorferi)、らん藻類(Synecocystis)、発疹チフス病原体(Rickettsia prowazekii)、枯草菌(Bacillus subtilis)、肺炎の病原体(Mycoplasma pneumoniae)、ピロリ菌(Helicobacter pylori)、好熱性硫黄細菌(Archaeoglobus fulgidus)、超好熱性古細菌(Pyrococcus horikoshii)、メタン細菌(Methanobacterium thermoautotrophicum)、梅毒トレポネマ(Treponema pallidum)、トラコーマ病原体(Chlamydia trachomatis)、放射線照射耐性細菌(Deinococcus radiodurans)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、ヒト(Homo sapiens)−の24種類のアノテーションDBが登録されている。

 GeneAtlasおよびAtlasStoreは、アクセルリスが運営しているファンクショナルジェノミクスコンソーシアムのメンバーになると利用できるほか、メンバー外へのシステムの販売も行われている。システム一式の価格は、年間使用権で3,000万円から。