三井物産が米ライトナウの技術を導入しCRMのASP事業を開始
自己学習型知識ベースでFAQを成長させ、問い合わせそのものを減らす
2001.07.24−三井物産は、インターネット上でCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)を提供するアプリケーションサービスプロバイダー(ASP)事業を7月30日から開始する。ホームページ上からの問い合わせ対応などの顧客サービスを効率化するためのもので、コールセンターの業務効率を大幅に改善し、顧客満足度を向上させることが可能になる。自己学習型の知識ベース機能を備えており、メールや電話での問い合わせ件数そのものを激減させる効果があるという。費用は年間700万円から。
三井物産が開始するASP事業は、米ライトナウ・テクノロジーズ社(本社・モンタナ州、グレッグ・ギアンフォルテCEO)が開発したソフトウエアとビジネスモデルを導入したもの。ライトナウの「RightNow Web」は、ホームページにおけるFAQ(よくある質問に対する回答)検索や、電子メールでの問い合わせの受け付け、チャットによる問い合わせの受け付けを行う機能を提供する。
RightNow Webの最大の特徴は、自己学習型知識ベースを用いたFAQデータベース。最初に15−50個くらいのFAQを公開しておくと、顧客はまずそれを検索し、回答がない時にメールで質問をよこしてくる。その際、RightNow Webは「スマートアシスタンス機能」を起動、顧客の書いたメールの内容を形態素解析し、キーワードを抽出して自動的にFAQ内を検索し、回答候補をあらためて顧客に提示する。実際に顧客サービスセンターのオペレーターに対して質問メールが送られると、RightNow Webはメールの記述内容をもとにあらかじめ設定されたワークフロールールにしたがって適切なオペレーターにメールを振り分けてくれる。
メールを受け取ったオペレーターは、そのメールがどのワークフローを経由して自分に届いたのか、メールを送った顧客が事前にどのFAQを参照したのか、その顧客の過去の問い合わせやサポート履歴があるかどうかなどを参照しつつ、その問い合わせに答えていく。最終的に顧客に対して返信された回答メールは、自動的にFAQデータベースに加えられ、管理者の承認によってその内容が正式に公開されるという手続きを取る。このため、顧客とのやり取りを重ねるごとにFAQが充実していくことになる。
具体的に、エア・カナダでは月間1万件あった質問メールが60%削減、米国三洋電機では導入後40日で毎日1,100件あった問い合わせ電話が30%減、米ビッグプラネット社では質問電話が20%減り電話代が毎月10万ドル削減できたなどの事例があるという。
ASP方式で提供されるため、システムの導入や維持に関する費用の面でも効率が良いが、あえて社内で運用したいというユーザーのためにパッケージソフトとしての販売も行っていく。ライセンスは年間使用権タイプで、1年間で700万円、2年契約で1,200万円。ASPで利用する場合はホスティングサービス料として別途年間100万円が必要になる。なお、パッケージとして動かす場合のプラットホーム環境はLinuxとOracle 8i。