CCS特集第3部:バイオインフォマティクス
NECソフト
2001.11.31−NECソフトは、同社の独自性を打ち出す新たな事業分野としてバイオインフォマティクスに進出した。10数年前からNECの基礎研究所などとの共同開発を通してCCS分野の技術蓄積もあり、今年4月に「VALWAYテクノロジーセンター」を開設して、本格的な事業化を進めつつある。
同センターは、4月に15名の体制でスタートしたが、スタッフは現時点でほぼ倍増している。バイオインフォに専門に携わっているのは16名で、NEC本社のバイオIT事業推進室、基礎研究所、ハイパフォーマンスコンピューティングセンターなどとの連合での事業体制を形づくっている。
とくに基礎研究所とは非経験的分子動力学法ソフト「AMOSS」の開発を行ってきた実績がある。AMOSSは大規模分子に対応できることが特徴で、マンノース結合たん白質の分子軌道計算に成功した東海大学との共同研究などの注目すべき研究事例がある。
NECソフトとしては、たん白質の構造解析・機能解明の分野をターゲットにした事業化を狙っており、その意味ではAMOSSで培った技術が貴重な資産となる。しかし、NMRやX線による構造決定などの実験的な技術に関しては経験が乏しいため、外部の研究機関との実用化研究を通して事業化への足がかりを築いていく作戦だ。
このため、農業生物資源研究所と正式な共同研究プロジェクトを発足させた。5年間の集中研究を行い、X線データの解析から構造決定にいたる技術開発成果を製品化につなげる。また、cDNAクローニングからたん白質の合成、精製、結晶化、X線解析までの一連の工程のスループットを向上させる技術開発を進め、受託解析や研究支援サービスなどの形での事業化の可能性も探ることにしている。