富士通が栄研化学と遺伝子増幅プライマー設計支援ソフトを開発

ネットラボラトリー経由のASPとして事業化へ

 2002.02.01−富士通は1月31日、栄研化学の遺伝子増幅技術“LAMP法”に基づいた専用プライマー(遺伝子の複製を開始させるために必要なオリゴヌクレオチド)設計支援ソフトを共同で開発したと発表した。科学者・技術者のためのポータルサイトである「ネットラボラトリー」(http://www.netlaboratory.com/)を利用して、このソフトや関連する試薬、装置などを提供するドットコムビジネスの形で事業化する。栄研化学にとっては、LAMP法が普及しライセンスビジネスや試薬販売が活性化するいう狙いがある。

 遺伝子増幅は遺伝子診断に役立つ技術として注目されており、とくにLAMP法は一般的なPCR法(ポリメラーゼ連鎖反応法)よりも特異性が高く、100倍以上の増幅効率が得られ、装置や手順も簡便であるなどの特徴があるという。ただ、LAMP法用のプライマーの配列設計を支援できるソフトが存在しなかったため、栄研化学は昨年1月に富士通と提携して共同開発に乗り出していた。

 今回の事業化に当たっては、ネットラボラトリーの中に専用のASP(アプリケーションサービスプロバイダー)サービスを設け、5月ごろから具体的にスタートさせる予定。ユーザーは、サイトに入って今回のソフトを使用し、自分でプライマー設計を行う。また、栄研化学に対してDNA増幅試薬キットを注文することも可能。

 さらには、サワディーテクノロジー(本社・東京都板橋区、増尾正則代表取締役)にプライマーの受託合成を依頼したり、テラメックス(本社・京都市、近藤義昭代表取締役)からDNA増幅の効果を検出する濁度測定装置を購入したりすることができる。LAMP法を利用するためのサービスがワンストップで手に入る仕組みだ。

 今回のソフトはパッケージとして単独で販売するのではなく、ASP形式で包括的にサービスするスタイルの方が、利用者の便宜にもかなっていると判断した。

 ネットラボラトリーは、富士通が2000年1月末に開設したサイトだが、最近になってそのインフラを生かしたさまざまな展開が目立つようになってきた。今回のLAMP法に関するASPもその1つで、今後もネットラボラトリーがどんな形で活用されるか注目したい。