日本オラクルがバイオインフォマティクス市場に本格進出

専門組織を設置、次世代DB製品に機能追加を約束

 2002.01.19−日本オラクルが、バイオインフォマティクス市場に本格的に乗り出した。昨年12月に技術統括本部の下に「バイオインフォマティクス事業開発部」を設立し、東京・大阪に専任者を含む4名のスタッフを置いた。担当営業や産業別SE(システムエンジニア)がプロジェクトごとに参加するという布陣で具体的な活動を開始。米オラクルのラリー・エリソン会長もこの分野に強くコミットメントしており、日本法人としても今年はさらに体制を強化していく。

 バイオインフォマティクスでは、巨大なデータベース(DB)が必要になる。オラクルのこの分野の代表ユーザーである米セレーラ社ではヒトゲノム情報を中心とした100テラバイトのDBを運用中。日本オラクルによると、データ量の多さで定評のある大手コンビニエンスストアのPOSデータでもDBサイズは4.5テラバイトであり、バイオインフォマティクスのデータ量の巨大さはあらゆる用途のなかでも群を抜いているという。

 セレーラによると、今後たん白質の解析が進めばDBサイズはペタバイト(ペタは1兆)、遺伝子の個人差などを含めた情報を扱うとエクサバイト(エクサは1,000兆)にまで膨れ上がる。DBベンダー最大手のオラクルにとって、これはチャレンジであると同時に、一種の社会的使命でもあると位置づけている。

 米オラクルは、昨年8月にバーチャルカンパニー方式でバイオインフォマティクスの専門事業組織を設立した。副社長の1人が管掌し、SEやコンサルタント、セールスを中心に、英国および日本からもスタッフが参加している。

 米オラクルでは、昨年12月にサンフランシスコで開催した開発者&ユーザー会議「オラクルオープンワールド」において、初めて「ライフサイエンスデイ」と題するセミナーを行った。450名近い参加者があり、オラクルのライフサイエンス市場への意気込みを強く印象づけることができたということだ。

 この中で、ラリー・エリソン会長は、現行のOracle9iの次期バージョンであるOracle10i(仮称)に向けて、ライフサイエンス特有の機能追加を行っていくと明言した。大手ユーザーで構成されるCAB(カスタマーアドバイザリーボード)から要望を吸い上げて、具体的な開発計画/製品計画の策定にすでに着手しているという。

 実際には、Oracle9iの本格出荷が開始されたばかりのタイミングであり、優先度の高い機能はOracle10iを待たずにサポートされる可能性もあるだろう。

 例えば、BLASTによるホモロジー検索でも、大量のデータから効率良くスコアリングして類似の配列を抽出するためには、DBシステム自体をモディファイしてパフォーマンスを上げるなどの工夫が必要になるという。