ノベルがNetWare6日本語版を発売

インターネット経由で世界中どこからでもファイルやプリンターを共有

 2002.01.16−ノベル(吉田仁志社長)は15日、主力製品であるネットワークOSの最新版「NetWare6」(ネットウエア6)を2月18日から出荷開始すると発表した。1990年代初頭のパソコンLANの黎明期に一世を風靡したネットウエアの原点に立ち返り、ネットワーク上でのファイルアクセスとプリンター利用の利便性を訴えかけていく。同社が提唱している“oneNet戦略”を具現化する製品として、インターネットをフル活用している点が特徴。eビジネス時代のネットワーク基盤として売り込み、7−10%のシェア獲得を目指していく。

 同社では、今回のNetWare6をユニバーサルファイルシステムと位置付けている。現行のNetWare5.1はネットワークアプリケーションのプラットホーム環境を提供するサーバー製品という性格が前面に出されていたが、新製品はこれらの機能を引き継ぎながらも、あえてNetWareの原点である「ファイル共有とプリンター共有」の利便性をインターネットベースで追求した製品となっている。

 インターネットの標準プロトコルを使用して、世界中のどこからでも、認証を受けたユーザーだけが安全に社内のデータへアクセスできる環境を実現した。

 まず、基本となる「Native File Access」は、Windowsやマッキントッシュ、UNIX/Linuxに標準のプロトコルを使って、NetWareのファイルシステムへのアクセスを可能とした。 NetWare独自のプロトコルやクライアントソフトを使用しなくてもよいため、どんなマシンでもネットワークに接続するだけで共有ファイルへのアクセスが可能になる。

 とくに、今回の新機能である「iFolder」は、ファイルサーバー上に個人用のストレージエリアを作成して利用できるようにするもので、バーチャルプライベートネットワーク(VPN)などを使用せずインターネットを介して企業内のデータに安全にアクセスできる。クライアント内のデータファイルが、サーバー上に保管されているデータと自動的に同期化されるほか、データは強固な暗号化技術で守られており、本人しかそのデータを利用することはできない。

 現時点では、このiFolderは専用クライアントによりWindows上でのみ使用することができる。サーバー側の環境としては、WindowsNT/2000およびNetWare5.1を使用することも可能で、単独の製品としても1月下旬から一足早く提供される。

 もう一つの新機能の目玉が「iPrint」である。IPP(インターネットプリンティングプロトコル)を使用して、ウェブブラウザーから手近のネットワークプリンターを利用できるようにするもの。モバイルパソコンで会議などを行い、その近辺のプリンターで文書を印刷したい場合、そのプリンターの名前がわからなかったり、プリンタードライバーがなかったりして印刷が面倒になるというケースがよくある。オフィス配置図を作成して各プリンターへのリンクを貼っておけば、使いたいプリンターをブラウザー上で選ぶだけで、ドライバーのダウンロードやインストールも含めてプリンターのセットアップをiPrintが自動的に行ってくれる。

 インターネット経由で遠隔的に使うこともできるので、FAXがわりに特定のプリンターに出力を行うことも可能。IPP専用プリンターでなくてもかまわない。プリントデータは暗号化されて伝送されるので、セキュリティも高い。ただ、これも現時点ではWindowsクライアントからの利用に限定される。

 一方、ファイルを格納するサーバーサイドも大幅に機能強化されている。「Novell Storage Services」は、高速・大容量のストレージ管理を可能にしており、ボリューム当たり8テラバイト、10億個のファイルを数秒以内でマウントできる性能を持っている。構造化されたストレージサービスを実現しており、パフォーマンスの低下なしにほぼ無制限のディレクトリーとファイルをサポートすることが可能という。

 さらに、マルチプロセッサーとクラスターシステムをサポートしており、最大32ノードの大規模クラスターを運用することができる。バックエンドにSAN(ストレージエリアネットワーク)を配備することで、高性能・高可用性を高次元で実現したシステムとなる。

 NetWare6の価格は、ユーザーアクセスライセンスで提供される。国内価格はオープンだが、米国では1ユーザー/184ドルからとなっている。