2002年春季CCS特集:NEC
MolStudioが着実に普及、国産ソフトの強みを発揮
2002.06.20−NECは、非経験的分子軌道法ソフトウエアの定番であるGAUSSIANのための専用グラフィック環境として利用できる「MolStudio」を開発している。ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)事業の一環という位置づけであり、フルラインアップのハードウエア、ミドルウエア、ソフトウエア技術を生かして、科学技術系のトータルソリューション提供を志向している。
MolStudioは昨年7月にリリース3が発売された。メニューが洗練されて使いやすくなったほか、リモートサーバー上のGAUSSIANの実行制御が改善され、複数のサーバーの稼働状況などを確認しながらリアルタイムにマシンを選択し、計算を実行することが可能になった。GAUSSIANがローカルのパソコンにインストールされている場合は、MolStudioで作成した分子をそのまま解析することができる。
また、外国人の研究者にも配慮し、メニューまわりをすべて英語で表示できるようにした。英語版のウィンドウズにもインストールでき、ヘルプや利用ガイドもすべて英語化が完了している。将来的には海外での販売にも挑戦したい考えである。
同社ではさらにリリース3.1も開発中で、組み立てた分子を成形するための簡易力場計算の搭載、通信機能の改良などが施される予定。
MolStudioの累計販売実績は約600本に達している。やはりGAUSSIANには根強い人気があり、バイオブームで計算人口が増えるなかで、第一原理的手法で分子構造をきっちり解析したいというニーズが広がっているという。その意味で、国産ソフトであるMolStudioはユーザーフレンドリーなイメージを持たれているようだ。