日本MDLが新ブランディング戦略で製品名称・体系を一新
ソリューションを4分野に再編、統一感打ち出す
2002.05.21−大手コンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーの日本MDLインフォメーションシステムズは、6月から新しいブランディング戦略を展開し、60種類近くあるシステムの商品名と商品体系を一新するとともに、企業としてのロゴやインターネットのURL、電子メールアドレスなども統一性のあるものに切り替えることにした。これは全世界でのブランディング戦略の一環だが、日本MDLではちょうど今年から会社組織や直販体制を本格的に強化してきており、新戦略を積極的に事業拡大に結びつけたい考えだ。
MDLはケムインフォマティクス分野のトップベンダーで、とくに新薬開発をターゲットとした化合物のデータベース(DB)や実験データ管理などで統合的なソリューションを提供している。とくに、統合化学情報管理システム「ISIS」はこの分野の代表的なシステムとして抜群の知名度を誇っている。
しかし、同社があらためて市場の声を集めてみると、ISISなどの商品名に対してMDLという社名の認知度が非常に低いことが判明したという。また近年、同社はバイルシュタイン、アファレント、サイビジョンなどのCCSベンダーを買収したほか、ライオンやパーテックなどの他社製品の全世界での販売権を得るなど、製品の種類が拡大してきた。ところが、逆に商品名に一貫性がなく、製品体系がばらばらというイメージを抱かせてしまっていたのが現状だった。
そこで今回、新しいブランディング戦略を導入し、企業イメージと商品イメージを一新することにしたもの。
まず、全製品群を束ねる統一名称を「MDLディスカバリー」とし、そのもとに各製品を4分野に再編した(別表参照)。最初に、「MDLディスカバリー・フレームワーク」として、新「MDL ISIS」をはじめとする基盤技術製品群を配置、「MDLディスカバリー・エクスペリメントマネジメント」としてハイスループットスクリーニング(HTS)などの実験データ管理や試薬管理などのシステム群を整えた。
3つ目の「MDLディスカバリー・プレディクティブサイエンス」には、データマイニングや分析ツール、ADME(吸収・分布・代謝・排出)予測のシミュレーションツールなどが含まれている。最後の「MDLディスカバリー・ナレッジ」は、MDL ISISで利用可能なDBを含む豊富なコンテンツ製品群がラインアップされた。
各製品の名称の頭に“MDL”が冠されていることが特徴だが、アプリケーションフレームワークの「Isentris」のように名称ががらりと変わってしまった製品もある。また、「ACD」のように以前は略称だけだった製品は、今回からフル名称が製品名となる。製品の機能をわかりやすくすることと、製品群の統一感を強調することが目的だという。
一方、企業イメージを表わすロゴも一新、インターネットのURLは以前は「mdli.com」だったが、今回あらためて「mdl.com」を取得できた。このため、ホームパージのURLは「http://www.mdl.com」となり、メールアドレスもそれに準じてドメイン部分が変更となる。
日本MDLは、MDL ISISではCTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)を経由しての販売体制を維持していくが、新しい製品群に関しては直販を中心に進める計画で、今年になって日本法人の組織体制を急ピッチで強化してきている。この機に乗じ、日本MDLの認知度や市場での存在感を一気に高めていく。