ヒューリンクスが異機種混在型のBLASTソリューションを発売
LinuxからMacOS Xまで管理者いらずで構築・運用が可能
2002.09.05−ヒューリンクスは、ネットワークに接続された複数のパソコンを協調させることで、遺伝子の相同性検索を高速に実行する「TurboBLAST」(商品名)の販売を開始した。開発元の米ターボジェノミックス社(本社・コネティカット州、ビバリー.E.サルバーグ社長)と総代理店契約を締結したもので、ヒューリンクスではさらに国内の販売パートナーを募り、幅広い普及を目指していく。IBMのPCクラスターやアップルプラットホーム上での動作実績も豊富で、ハードメーカー各社との協力関係も確立したい考え。ソフト価格は10プロセッサーまで利用できるスターターキットが400万円(教育機関120万円)。
TurboBLASTは、WindowsやMacOS X、Linux、UNIXなどの異機種混在が可能なBLAST専用クラスター環境を実現するソフト。1台の“マスターマシン”が複数台の“ワーカーマシン”をコントロールする構成で、システムのインストールやセットアップはほとんど自動で行われ、現場の研究者はネットワークを意識することなく、ほぼ以前のままの感覚で手元のパソコンからBLAST解析を実行することができる。
このため、米国では病院や大学の研究室など、専門のシステムエンジニアを雇うことのできないユーザーに人気があるという。手持ちのいろいろな機種のパソコンをそのまま活用できるので、初期投資が低く抑えられる点も評価されているようだ。
それぞれのワーカーマシン上には、米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)から提供されている標準のBLASTと、検索対象となるデータベース(DB)が個々に配置される。BLASTプログラムはインストーラーが自動的にインストールしてくれるほか、DBメンテナンスもマスターマシン上で一元的に行えるため、あまり手間はかからない。BLASTそのものに手を加えていないので、バージョンアップの際にも各ワーカーマシンのNCBI-BLASTを最新版に入れ替えるだけでいい。
クラスター全体がダイナミックにコントロールされているため、処理の途中でワーカーマシンを追加したり離脱させたりすることも自由。標準的にはワーカーマシン16台程度の構成が多いが、128台を接続した事例もあるという。
ちなみに、MacOS X上ではアップルとジェネンテックがマッキントッシュ専用に最適化したApple/Genentech BLASTが提供されることになる。Xserve対応であり、マッキントッシュベースで最強のBLASTソリューションを実現することが可能。また、米国ではIBMのLinuxクラスターであるCluster1300とのセット販売も行われている。
一方、ターボジェノミックス社では合わせて開発環境も提供している。 TurboBLASTの心臓部に当たる制御エンジンである「TurboHub」、およびJavaベースのアプリケーション開発環境である「TurboBench」が用意されている。前者の中身は、並列処理およびワークフロー制御用のAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)セットで、後者はこれをGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)環境で利用するための開発ツールとなっている。
とくに、TurboBenchではフローチャートを書く感覚で並列化プログラミングが行えるため、ユーザーアプリケーションを簡単に並列対応に最適化することができる。 TurboBLASTはTurboHubのアプリケーションの一つという位置づけだが、TurboHubおよびBenchにはTurboBLAST機能は含まれていない。 TurboHubのライセンス価格は16プロセッサー時でTurboBLASTの3割増し、TurboBenchは同じく6割増し程度になる模様。