菱化システムが遺伝子発現解析などに利用できるデータマイニングツール
英インフォセンス社のKDEを発売、強力な視覚化機能を備える
2002.09.07−菱化システムは、遺伝子発現解析などで威力を発揮する新しいデータマイニングソフトウエア「Kensington Discovery Edition」(ケンジントン・ディスカバリー・エディション、KDE)の販売を開始した。英インペリアル大学発ベンチャーである英インフォセンス社(イック・グオCEO)の製品で、研究者が互いの知識や解析手法を共有しつつ、分散するデータを統合して新たな発見を見い出すためのソフトウエア環境を提供する。WindowsやLinuxの3層ウェブアーキテクチャーに対応しており、ソフト価格は624万円から。
KDEは、英国政府が推進するeサイエンスプロジェクトから生まれたシステム。さまざまなデータ処理・解析用コンポーネントを用いることで知識発見用のワークフローを構築し、知識の検証と蓄積を行うナレッジマネジメントを実現する。リレーショナルデータベース、スプレッドシート、テキスト、XMLなど各種形式のデータを統合でき、分類やクラスタリング、相関ルール、主成分分析、分散分析などの豊富なアルゴリズムを利用したデータマイニングが行える。
最大の特徴は強力な視覚化機能で、一つのブラウザー上で同じデータを複数の形式のグラフで表現することなども容易。多角的な視点で、データへの理解を深めることができる。また、画面上で知識発見プロセスのワークフローを視覚的に描くことが可能。XMLをベースにしたナレッジマネジメントにより、知識の標準化や共有・交換を推進することにつながる。
基本的には汎用のデータマイニングツールだが、バイオインフォマティクス分野の専用アプリケーションモジュールが提供される。対話型でのたん白質と遺伝子配列の解析、機能拡張されたクラスタリング・分類・統計的アルゴリズムを用いた遺伝子発現解析、対話型の調節ネットワークアルゴリズム、遺伝データと臨床データの組み合わせによる革新的な従属解析、マススペクトル解析とNMRスペクトル解析、一塩基多型(SNPs)解析−などを実行するための専用化されたツールがそろっている。
適応するプラットホームはサーバー環境がWindowsNT4.0/2000、レッドハットLinux、ソラリス、クライアントはWindows系とMacOS X、ソラリスが利用できる。価格は、サーバーライセンスが年間480万円(永久ライセンス960万円)、クライアントライセンスは年間144万円(同288万円)、大学・官公庁向けは同じく240万円(480万円)と72万円(144万円)になる。また、アプリケーション開発ツールも用意されており、こちらの価格は年間ライセンスで240万円(永久ライセンスは480万円)となっている。
菱化システムでは、この他のデータマイニングツールとして米サイテジックの「パイプラインパイロット」も販売しているが、こちらは大量のデータを効率良くフィルタリングすることを得意としており、うまく使い分けて補完し合う関係になるという。