富士通とCLSがHPC機能強化で共同研究
バイオインフォマティクスを核に性能・運用性向上目指す
2002.11.16−富士通とセレスター・レキシコ・サイエンシズ(CLS、土居洋文社長)は、バイオインフォマティクスをはじめとしたHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)分野で、スーパーコンピューターの性能および運用性向上に関する共同研究を開始した。CLSはこの成果を利用して遺伝子/たん白質の解析サービス事業を拡大。そのノウハウをフィードバックして、富士通は高性能HPCシステムの改良・開発に役立てる。今回の共同研究は2004年3月末が期限だが、実績によっては継続も視野に入れている。
バイオインフォマティクスを含むライフサイエンスは、毎月1テラバイトを超えるペースで拡大するデータベースを利用した遺伝子/たん白質の配列解析・機能解析、さらに分子動力学法や分子軌道法などの計算化学技術を用いたたん白質の構造解析など、HPCに対する要求が最も厳しい市場の一つとなっている。
今回の共同研究は、CLSのバイオインフォマティクスに関する専門技術と、富士通のHPCにおけるノウハウやチューニング技術、製品開発力を合体させようというもの。具体的には、CLSがマルチベンダーのサーバー上で構築している大規模ゲノム創薬システムを、富士通製スーパーコンピューター「PRIMEPOWER HPC2500」上に統合し、そのシステムの性能および運用評価を実施。PRIMEPOWERシリーズの機能強化や今後の製品開発にフィードバックしていく。
実際のゲノム創薬アプリケーションでシステムの性能評価をすることにより、ハードウエアやミドルウエアを高速化する技術、アプリケーションを最適化および並列化する技術に関する重要な知見が得られるという。同時に、スーパーコンピューター上で最適なシステムを構築するためのシステム設計技術、システムを効率的かつ容易に利用し、可用性や信頼性を向上させるシステム運用技術に関しても研究を進める。
なお、PRIMEPOWER HPC2500は今年の8月に富士通が新発売した大規模並列スカラー型スーパーコンピューターで、ノード当たり最大128プロセッサーを搭載した計算モジュールを128ノード(最大1万6,384プロセッサー)まで拡張でき、理論ピーク性能は現時点で世界最高の85.1テラFLOPS(1テラFLOPSは毎秒1兆回の浮動小数点演算を実行)に達している。