CCS特集:ベストシステムズ
AMD64ビット技術への対応で先行、自社サーバーとのセットも推進
2003.06.26−ベストシステムズは、昨年からカナダのハイパーキューブ社の「HyperChem」、米キューケム社の「Q-Chem」の販売権を取得し、撤退したKGTの事業を継承した。同社は、AMDの64ビットプロセッサー「オプテロン」を搭載した独自サーバーの製作販売も行っており、さらにはスペインのグリッドシステムズ社から導入したグリッドコンピューティングツール「インナーグリッド」も合わせて、最新の高速計算環境を使用したCCSソリューションの提供に全力を注いでいく。
HyperChemは、Windowsベースの汎用分子モデリングシステムで、以前から使いやすさに定評がある。現在のバージョン7は密度汎関数法(DFT)をサポートしたことで、金属を含んだ大きな系を計算したいというユーザーに最適。これまでに40サイトの新規ユーザーを獲得したほか、既存ユーザーのなかにも10本単位でライセンスを追加するところがあるなど、好調な立ち上がりとなっている。
一方、Q-Chemは非経験的分子軌道法のソフトで、この分野の代表格であるGaussianとの競合になる。同社では、最新のGaussian03とのベンチマーク比較データをとってウェブで公開し、Q-Chemのコストパフォーマンスの高さを訴える作戦。例えば、32プロセッサー構成で利用する場合、Gaussian03の半額だとしており、そこまでの高機能を必要としないユーザー層にQ-Chemの利用を促していく。
また、64ビット対応を大きな武器にする。デュアルオプテロン搭載の自社ブランドサーバー「デイモス1000」と「フォボス2000」を販売しているが、このマシンをキューケム社に提供し、64ビット環境への移植作業を支援。10月にはハード・ソフトを合わせて50万円でセット販売することを計画している。ただ、オプテロンは従来の32ビットプログラムを実行できることが特徴であり、まずは現行のQ-Chemを「デイモス/フォボス」で稼働させつつ、64ビット版のリリースを待つことも可能だ。
なお、自社CCS製品の「MolWorks」については無償提供をさらに継続する。この1年間でのダウンロード数は約2,000。3割が国内、7割が海外という比率である。今年の秋にバージョン2をリリースする予定だが、それに合わせてライセンス体系を一部見直すことになりそうだ。