CCS特集:富士通九州システムエンジニアリング
ADMET分野で攻勢、独自システムMedScreenを開発
2003.06.26−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は、ADMET(吸収・分布・代謝・排出・毒性)分野で攻勢をかける。専用システムの「MedScreen」(仮称)を独自に開発し、9月をめどに販売を開始する予定。現在、この市場は海外のソフトに独占されているが、ADMET特性を総合的に評価できる機能性と低価格を武器にシェア獲得を目指していく。
昨年、同社はアクセルリス製品やMDL製品が開発元の都合で販売できなくなるなどの打撃を受けており、CCS事業の建て直しに全力を注いできた。菱化システムとのパートナーシップは継続されており、加CCGの「MOE」の販売などを手がけるようになったことで、前年度並みの実績は確保できたようだ。
さて、同社にとって今年最大の戦略商品となるMedScreenは、ここ数年のプロジェクトの集大成として開発したもの。NEDOプロジェクトとして実施され現在はJBICで公開されているチトクロームP450代謝反応データベース、富士通と共同で製品化した代謝物予測システム「バイオフロンティア/P450」−といった実績を踏まえ、収集したデータベースや蓄積したノウハウを活用してADMET予測システムに仕上げた。
すべてのベースになっているP450関連のデータは、もともとはクロアチアのザグレブ大学のレンディック教授らのグループが収集したものだという。データベースの拡充にも引き続き取り組んでいく考えだ。
今回のMedScreenは、吸収・分布・代謝・排出・毒性のすべてを総合的かつ同時に評価できるシステムを目指しており、最初に吸収予測(溶解性モデル)、代謝予測(CYP3A4阻害モデル)、毒性予測(発がん性モデルおよび変異原性モデル)−の4種類のモデルを組み込む。順次、予測モデル式を増やしていくが、年度内にはユーザー自身で相関式を作成できるモデルビルダーも提供する予定。カスタマイズ性や拡張性が高く、他のシステムとの連携が容易だという特徴もある。
実際には富士通との共同での製品化となるが、開発を担当しているのはFQSポーランド。これは、1998年に同社が100%出資で設立した企業で、CCS世界戦略を見据えた開発およびマーケティングの拠点となっている。当然、今回のMedScreenも欧米での販売に取り組む予定で、その実績が注目されるところ。