CCS特集:富士通
パッケージ製品群が好調、海外での販売も軌道に
2003.06.26−富士通は、自社開発から海外製品まで多彩なCCSパッケージソフトを品揃えしており、昨年度も10−20%の好調な伸びを記録した。昨年10月には新たな事業部体制を発足させており、今年は戦略を明確にしつつ、積極的な事業展開を目指す。富士通の新事業としての可能性を具体的に示していくことが今年の課題になるという。
好調のパッケージ事業の中では、とくに昨年から販売を開始したACD製品が特筆される。これは、NMR(核磁気共鳴)やIR(赤外線)、MS(質量分析)などのスペクトルータ処理・解析を中心としたシステムで、それらの分析機器から収集したスペクトルデータをもとに化学構造を予測したり、逆に化学構造式からスペクトルを予測したりするなどの80種類近くのソフトから構成されている。
パッケージの提供に関連して、研究所システムのシステムインテグレーション(SI)に発展する例もあり、売り上げ的にも貢献度が高かったようだ。
同様に、SIに結びついたのがケンブリッジソフト製品で、「ChemOfficeウェブサーバー」をベースにした試薬管理システムを構築したなどの実績が出てきている。
自社開発製品では、「CAChe」ファミリーの創薬研究用パッケージが強化された。「BioMedCAChe」の製品名で、たん白質のアミノ酸配列の解析や立体構造予測、医薬候補化合物とのドッキングスタディまで多彩な機能を搭載。注目されているドッキング機能は7月からリリースが開始される。
また、たん白質に対応できる分子軌道法である“MOZYME法”を強化し、2ギガバイトのメモリーを積んだパソコンで、10万原子サイズのたん白質の全電子計算を可能にした。この新しいMOZYME法プログラムをCACheとセットにして提供する予定だ。
さらに、分子動力学法(MD)ソフトの「WinMASPHYC」も好調。専門的なコンサルティングを低価格で実施してユーザーが使いこなせるようにアフターサポートする簡易コンサルティングパック「アドバイザリーサポート」が好評だという。MASPHYCのMDエンジンはPCクラスター対応版も用意されており、高速計算へのニーズにも応えることができる。
これらの独自パッケージ群はワールドワイドに販売されており、欧米での事業もようやく軌道に乗りはじめたという。海外の売り上げ規模はまだ1億円ほどだが、販売体制がしっかりしてきたので、ライフサイエンス系パッケージなどの品揃えを強化することにより飛躍への土台が整ってくると期待されている。