日本MDLが特許情報DBコンテンツに進出
化合物・反応の詳細情報を収録、世界5機関の特許をカバー
2003.12.08−日本MDLインフォメーションシステムズは、化合物に関する特許情報データベース(DB)事業に新規参入した。同社の化学DB管理システム「CrossFire」で利用できるDBコンテンツとして、またオンライン検索サービス「ディスカバリーゲート」に組み込んで提供する。特許DBはすでに各種のものがあるが、化合物や化学反応に関する詳細情報は収録されていない場合が多かったという。新DBは250万化合物と40−50万件の反応情報を網羅し、来年春にリリースされる予定。
特許情報のなかには、合成の可能性が予言されている新規な化合物に関する情報が多く含まれているほか、ほとんどの新規反応は特許でしか公表されていないという事情もあり、化学や創薬の研究活動において特許情報にアクセスする重要性がますます高まっているのが現状。しかし、既存の特許DBには化学的な詳細情報が十分に収録されていない場合が多く、構造式で検索できる情報も少なかった。
今回のMDLの特許DBは、全体の90%をカバーしている世界の5機関(世界、欧州、米国、日本、独国)の公開特許情報をベースにしたもの。反応情報は1976年以降の40−50万件を収録しているが、それぞれ完全に反応機構が記述されており、マルクーシュ反応の表示も可能。反応や試薬、溶媒をキーにした構造検索を行うことができる。化合物情報は250万件で、予言されている化合物が約25%含まれており、マルクーシュ構造の表示が可能。特性データとして、フォーミュレーションや用途情報、生物活性データ、スペクトルおよび分析データなどが収録されている。
来年春の最初のバージョンでは、世界・欧州・米国の特許局の情報だけだが、2007年までには日独の2000年以降の特許情報を統合していく。DB自体は2週間ごとに更新され、あらかじめ気になる構造を登録しておくとその関連データが新しく入った時に知らせてくれるアラートサービスも利用できる。
具体的には、CrossFire用のコンテンツとしてインハウスで利用することも、ディスカバリーゲートを通じてインターネット環境で利用することも可能。MDLのシステム環境ではサードパーティーの特許DBも利用できるが、データ内容としては相互に補完するものなので、合わせて使えば相乗効果が期待できるとしている。
価格はまだ未定だが、指名ユーザーの年間定額料金制になるという。