米アスペンテック:デビッド・マッキリンCEOインタビュー

EOMが14社・90ヵ所のプラントで稼働、業績も急回復

 2003.12.25−プロセス産業専門のIT(情報技術)ソリューションベンダーである米アスペンテクノロジー(アスペンテック)は、生産現場と基幹業務システムを結ぶことで高度な意思決定を可能にする“EOM”(エンタープライズオペレーションズマネジメント)を推進、欧米では着々と導入実績を重ねつつある。デビッド・マッキリン社長兼CEOに近況と戦略を聞いた。

      ◇    ◇    ◇

 − 過去数年、経営的には不振が続きましたが、最近の業績はいかがですか。

 「すっかり立ち直ったと言っていい。昨年第2四半期(2002年10−12月期)から状況が好転し、今年の第1四半期(2003年7−9月期)は5年ぶりに黒字化できた。第1四半期は毎年難しい時期に当たるので、今回の好調さは本物だ。1億ドルの資金調達で負債も解消できたし、キャッシュフローも良好。株価も1年前は1ドルを割り込んでいたが、現在では8ドル50セント水準にまで回復してきている」

 − 好調の要因は何ですか。やはり、昨年10月に経営体制を刷新したことでしょうか。

 「新しい経営陣が指揮をとるようになったことに加え、コアプロダクトへの回帰を図って製品担当の責任体制を明確化したこと、経費削減に取り組んだことなど、さまざまな要素がある。そうした努力が1億ドルの投資を呼び込むことにもつながったと思う」

 − とくに貢献の大きかった製品はありますか。

 「製品のライセンスが好調なことは事実だが、全体的にどれもが順調。あえて言うなら、サプライチェーンマネジメント(SCM)関係の製品群が伸びている。構成比が以前の25%から40%にまで成長してきた」

 − アスペンテックが推進しているEOMの浸透・普及の状況はいかがですか。

 「この1年間でかなり前進した。ERP(エンタープライズリソースプランニング)を中心とする基幹業務システムと、DCS(分散型制御システム)を中心とする生産現場のシステムを完全に統合する考え方で、企業における全体最適化のデシジョンメイキングを本当の意味で可能にする。“オペレーションズコクピット”と呼ぶ統合プラットホームを確立しており、そのもとにオイル&ガス、石油、ケミカル・ポリマー、医薬、消費財など、特定産業向けのソリューションを用意する戦略だ。オペレーションズコクピットはアダプター機能を使って他社のプロセスエンジニアリングツールやSAPなどのERPパッケージにつなぐことができ、プラントオペレーターや設計者、製造部長、事業部長、経営者などユーザーに合わせて利用できる情報をカスタマイズすることが可能。来年にかけて、さらにユーザーインターフェースを練り上げて使いやすくしていく」

 − EOMの受注実績はどれくらいですか。

 「すでにエクソンモービルやデュポン、BP、トタールなど14社で採用されており、合計90ヵ所のプラントで使われはじめている。アジアでは中国のSINOPECへの導入実績がある。来年は日本市場での採用を期待している」