アクセルリスがファーマコピアから分離・独立へ
CCS専業ベンダーとして新生、4月にも新体制がスタート
2004.02.27−コンピューターケミストリーシステム(CCS)最大手ベンダーの米アクセルリスが、親会社のファーマコピアから分離・独立する。株式市場および法的な手続きが順調に進めば、4月から新体制に移行する予定。現在、ファーマコピアは統括会社として、CCS事業を推進するアクセルリスと創薬ベンチャーのファーマコピアドラッグディスカバリー(PDD)を100%子会社として所有しているかたちだが、まずPDDを単独の企業として分離したあと、ファーマコピアの社名をアクセルリスに変更して、現在のアクセルリスの全事業を継承する。それぞれの事業分野に専念することが目的で、機動性に富んだ事業展開が可能になるとしている。CCS専業ベンダーとして4月以降の新戦略が注目されるところだ。
米ファーマコピアはもともとコンビナトリアルケミストリー技術を得意とする創薬ベンチャーで、1998年から米モレキュラーシミュレーションズ(MSI)や英オックスフォードモレキュラー(OMG)などの有力CCSベンダーを次々に買収して、2001年6月にアクセルリスを発足させた。
ファーマコピアの2003年12月期決算によると、総売り上げ1億1,500万ドルのうち、ソフトウエア部門のアクセルリスが8,556万ドル、医薬探索サービス部門のPDDが2,950万ドルを占めている。純利益に関しては349万ドルの赤字だが、対前年比で813万ドルの改善となっている。また、期末のキャッシュ残高は1億3,400万ドルあり、分割後のアクセルリスに9,000万−1億ドル、PDD側に3,500万−4,500万ドルを配分する予定である。
両事業は相互に関連はあるがビジネスモデルなどが大きく異なっており、独立してそれぞれに専念するのが得策だと判断した。他方に束縛されることなく、ビジネスアライアンスや研究のコラボレーション、技術への投資などを自由に行えるようになる利点があるとしている。企業価値を評価しやすくなるため、株式市場に与える影響も好ましいものになるとみられている。ソフトウエアユーザーの立場からも、今回の独立によるマイナス要因は見当たらないといえるだろう。
新生アクセルリスの社長兼CEOには、現在のファーマコピアのソフトウエア部門社長のマーク.J.エムケア氏が就任。現CFOのジョン.J.ハンロン氏が新生アクセルリスでもCFOを務める。一方のPDDは外部から新たな社長兼CEOを迎える予定で、それまでの間は現在のファーマコピアの社長兼CEOであるジョセフ.A.モリカ氏が指揮をとることになっている。現在のドラッグディスカバリー部門COOであるスティーブ.A.スピアマン氏は引き続き新生PDDのCOOに留まる。
新生アクセルリスの本社は、旧MSIの本拠地だったカリフォルニア州サンディエゴに置かれる。英国ケンブリッジ、インドのバンガロールに構えている開発拠点もそのまま引き継ぐ。社員数は約530名。NASDAQのシンボルは、ファーマコピアの現在は“PCOP”で登録されているが、新生アクセルリスでは“ACCL”に変わる。
今後は、自由に利用できる豊富なキャッシュを生かした積極的な事業戦略が注目されるところだろう。アクセルリスは、CCSの幅広い領域を包括的にカバーする業界唯一の総合ベンダーであり、とくに材料科学系CCSでの新展開なども期待されよう。