菱化システムがフランス製熱力学物性予測ソフトを販売
MedeAの新エンジンとして提供、吸着・分離などの機能を解析
2004.03.31−菱化システムは、フランスのパリ第11大学やフランス国立科学研究センター(CNRS)で開発されたシミュレーションソフト「GIBBS」の販売を開始した。石油化学分野の物性予測や分離・吸着などのアプリケーションで利用されてきたもので、モンテカルロ法を用いて物質の熱力学物性をシミュレーションすることが可能。固相/液相/気相の間の物質の平衡状態を計算できるのが特徴で、ガス分離や異性体分離などのプロセス開発や材料設計に役立つ。計算化学の専門家だけでなく、プロセスエンジニア向けにも売り込んでいく。
GIBBSは、パリ第11大学のアラン・フックス教授らのグループが1997年から開発を進めてきたソフトウエアで、最新版はリリースされたばかりのバージョン4。これまではフランス国内の基礎研究に使用されてきており、外部に対して製品化されるのは今回が初めてになる。米マテリアルズデザイン社が自社の材料設計支援システム「MedeA」とインターフェースをとる目的で販売権を獲得。マテリアルズデザインの国内総代理店である菱化システムがGIBBSを提供することとなった。
このソフトは、“GIBBSアンサンブル”と呼ばれるアルゴリズムをベースにしており、高速で高精度な解が得られることが特徴。物質の表面や界面の現象に対するシミュレーションでは分子動力学法(MD)が用いられることが多いが、固体表面にどちらの分子が吸着しやすいかなどの問題ではGIBBSが威力を発揮するという。最新のバージョン4では、無機多孔体に対する極性分子の吸着といった現象の解析も可能になった。
MedeAには金属や無機化合物の結晶構造などを蓄積した豊富なデータベースが用意されており、それがGIBBSで利用できるほか、MedeAの量子化学計算エンジンと組み合わせることにより、分子が吸着した状態を電子状態の点で精密に解析することなども可能になる。
GIBBSの動作環境はWindowsまたはLinuxで、MedeAとのインターフェースは早ければ年内にも完成するとみられる。それまでは、GIBBS単体でも販売する。