2004年春季CCS特集:日本バイオ・ラッド ラボラトリーズ

ADME/毒性予測で複数のモデルを利用、DBコンテンツも強化

 2004.06.30−日本バイオ・ラッド ラボラトリーズは、定評あるサドラーのIR(赤外線)およびNMR(核磁気共鳴)データベース(DB)を中心に、昨年からはADME(吸収・分布・代謝・排出)/毒性予測分野にも本格的に乗り出した。同社の主力CCS製品は、化合物のDBと解析ツールを統合したKnowItAll(ノウイットオール)で、他社製品や技術を積極的に取り込んで先進の研究環境を提供できる。

 KnowItAllに内蔵されたADME/毒性予測機能は、新薬開発が動物実験のフェーズに入る前に吸収が悪い化合物や毒性のある化合物をあらかじめふるいにかけるためのスクリーニングツールとして利用できる。一種のQSAR(構造活性相関)ツールであり、候補化合物の構造の特徴からADME特性などを予測するためのモデル式が組み込まれている。

 こうした機能を持つソフトはすでにいくつも存在しているが、使われているモデルによって適用できる系に得手不得手があるのが実情。ユーザーによっては、自分たちの研究対象には合わないという問題もしばしば生じる。しかし、KnowItAllは開発元の異なる複数のモデルを併用できるのが強みで、同社ではそれを“コンセンサスモデリング”と称している。

 具体的には、コムジェネックス/コンピュードラッグ、ケムイノベーションソフトウエア、ケムシリコ、シラキュースリサーチが作成したモデルをADME/毒性予測に利用できる。調べたい化合物の系統に合わせて最適なモデルをつくり上げることができるという。

 また、KnowItAllから利用できるDBコンテンツも、他社DBの取り込みによって内容を充実させてきている。とくに、ケミカルコンセプトのSpecInfoに内蔵されていたNMRデータを統合したことにより、ユーザーが利用できるデータ量が一気に拡大した。同じNMR関係では、かつての化学技術研究所や物質工学工業技術研究所などを通して構築されてきた国産スペクトルデータベースSDBSのデータも取り込んでいる。