サン・マイクロがLinuxベースの統合デスクトップ環境を発売

企業向け管理ツールを標準装備、TCO大幅削減を実現

 2004.05.19−サン・マイクロシステムズは18日、Linuxをベースにした統合デスクトップ環境「Sun Java Desktop System」(サンJavaデスクトップシステム)を開発し、販売を開始したと発表した。パソコン向けのLinux系OS(基本ソフト)とオフィスアプリケーション、システム部門が多数のデスクトップを集中管理できるようにした管理ツールなどを統合した製品で、まずは企業のクライアントマシン向けに普及・浸透を図る。マイクロソフト製品から切り替えることで大幅なコスト削減が可能になるとしており、伊藤忠テクノサイエンス(CTC)をはじめとする販売パートナー各社からも積極的に提供していく。販売目標は控え目に初年度3万本だが、市場での反響が注目される。

 Sun Java Desktop Systemは、SUSEのLinuxディストリビューションをベースにしたOSを採用しており、Windowsとそっくりの外観と操作体系を実現している。アプリケーションにも、マイクロソフトオフィスと高い互換性を持つサンの「スタースイート」を採用しているため、これまでマイクロソフト製品を使用してきた一般ユーザーでも、それほど戸惑うことなく新しい環境に移行できるという。

 ただ、Windowsに似せた外観をまとったLinuxはもはやめずらしくはない。むしろ、Sun Java Desktop Systemの最大の特徴は、企業のシステム管理者を助ける一元管理ツールが標準装備されていることだ。各デスクトップの資産管理やOSを含むソフトウエアのバージョンを管理し、最新バージョンを全デスクトップに一括配布する機能を持つ「サン・コントロールステーション」、ポリシーベースによる各デスクトップの構成管理を実現する「Javaデスクトップシステム・コンフィグレーションマネジャー」、リモートデスクトップの画面を管理者のデスクトップ上に呼び出し、遠隔から画面操作などを行う「リモートデスクトップ・テイクオーバー」−を標準で搭載した。

 同社では、デスクトップ500台を5年間運用した場合のTCO(総所有コスト)を独自に試算し、Windowsデスクトップと比べて1億6,125万円の削減効果が出るとしている。

 また、先ごろマイクロソフトと結ばれた技術提携を背景に、Windowsとの相互運用性を確実に実現するうえでも、他のLinuxディストリビューターより有利なポジションにあるとした。

 なお、日本語環境は、かな漢字変換システムにジャストシステムの「ATOK X for Linux」、リコーフォント2書体、日本語プリンタードライバー(NEC、エプソン、沖データ、ゼロックス)をサポートしている。

 価格は、1ユーザー当たりの年間使用権で5,500円、あるいは1台当たりの年間使用権が1万1,000円。ユーザーライセンスの場合は、全従業員への一括導入が条件になる。一方、教育/研究機関向けには1台当たり年間2,700円で提供する。出荷開始は6月2日で、その日から6ヶ月間はキャンペーン期間として、ユーザー当たり2,700円、1台当たり5,500円で購入できる。







Windowsとのコスト比較


TCO試算:デスクトップ500台を5年間運用することを想定

  Java Desktop System Windows 削減額
管理費用 管理者1人(600万円) PC 150台当たり1人の管理者(450万円×3)   
  3,000万円 6,750万円 3,750万円
ソフトウエア Java Desktop Systemのみ(5,500円/年) WindowsXP + OfficeXP + Outlook + Support(5万円)   
  1,375万円 2,500万円 1,125万円
デスクトップハードウエア PC(15万円) + サーバー(200万円×5) PC(15万円) + サーバー(100万円×10)   
  8,500万円 8,500万円 0円
デスクトップ入れ替え 入れ替えはなし、サーバー容量50%追加 PCは3-4年で更新(15万円) + ソフトウエア(5万円)   
  500万円 1億円 9,500万円
ヘルプデスク ウイルスに感染しないなど、コール数は25%削減 1コール当たり3,000円、12コール/1台/1年間   
  6,750万円 9,000万円 2,250万円
合計 2億625万円 3億6,750万円 1億6,125万円