MDLが全世界で呼称を“Elsevier MDL”に変更

エルゼビアとの一体化を強調、オンラインサービス拡大へ

 2004.09.15−ケムインフォマティクス最大手のMDLインフォメーションシステムズは、親会社である学術出版大手のエルゼビアとの一体化戦略を推進、全世界で呼称を「Elsevier MDL(エルゼビアMDL、登記上の社名は変更なし)に統一することにした。新薬の研究開発に役立つ高機能なソフトウエアや豊富なデジタルコンテンツを総合的なソリューションとして提供していく。統合製品の共同開発などにも乗り出す。国内では、日本MDLにエルゼビア・ジャパンから専任営業を受け入れ、国内のユーザー各社にエルゼビアのオンラインサービスを紹介していく。

 MDLは1997年にエルゼビアに買収されたが、事業の独立性は維持されていた。ただ、この間に学術雑誌や専門書の電子化が進展した結果、MDLの統合データベースプラットホーム製品「ISIS」との連携が徐々に増加。そこで、エルゼビアでは昨年5月にグループ横断的なビジネスユニットとして、MDLの組織を包含したかたちで「ライフサイエンス事業部」を設立。今回、さらに一体化した事業展開を強化するため、MDLの呼称を「Elsevier MDL」にあらためた。エルゼビアのライフサイエンス事業部は1,000人の従業員を抱え、6億5,000万ドルの売り上げ規模に達する。

 エルゼビアとMDLは、ともに新薬の研究開発プロセスを支援する製品やサービスを提供する点では同じだが、エルゼビアが図書館などを中心にして大学や官公庁をメインの顧客としているのに対し、一方のMDLは民間の製薬会社がユーザーだという違いがある。このため、新生Elsevier MDLとしては、1,700タイトル/300万件以上の学術文献にアクセスできる「サイエンスダイレクト」、ライフサイエンス分野のレビュー論文を集めたフルテキストデータベース「BioMedNet」、EMBASEとMEDLINEの二大データベースを統合した「EMBASEドットコム」−などのオンラインサービスの拡大を図っていく。

 また、MDLの創薬情報ポータルサービスである「ディスカバリーゲート」は、すでにサイエンスダイレクトとの相互リンクを実現。新しくエルゼビアで開発された電子薬理学事典「xPharm」が、このほどディスカバリーゲートの正式メニューに加わっている。薬物、ターゲット、疾病、作用メカニズムの分類で詳細な専門情報を調べることが可能。今後、エルゼビアの出版物の電子化の進展にともなって、MDL製品とリンクできるコンテンツがどんどん増えてくるとみられる。

 なお、Elsevier MDLでは今回の呼称変更にともなって、ロゴマーク、名刺やレターヘッド、電子メールアドレスも新しいものに変える(メールの移行は来年から)が、登記上の社名は変更がないため、既存のユーザーとの契約書の書き換えなどの手間は発生しないという。