住商エレがJBIRCにグリッドソリューションを導入
ドッキングシミュレーションに利用、パソコン100台をグリッド化
2004.07.22−住商エレクトロニクスは21日、バイオ研究向けのグリッドコンピューティングソリューションをバイオ産業情報化コンソーシアム・産業技術総合研究所生物情報解析センター(JBIRC)に納入したと発表した。これは、同社が代理店を努めている米ユナイテッドデバイセズが開発した「Grid MP」と呼ばれるソフトウエアで、JBIRCセンター内で利用されている100台の事務用パソコンをグリッド化した。たん白質と薬物分子とのドッキングシミュレーションに活用する。
JBIRCは、バイオ産業情報化コンソーシアムと産業技術総合研究所との共同研究体であり、分子動力学法(MD)を用いたたん白質モデリングソフトとドッキングシミュレーションによるインシリコスクリーニングシステムを独自に開発、「prestoX」の名称で会員企業などに提供してきている。
今回のグリッドソリューションは、「prestoX」の薬物ドッキングツールである「sievgene」を「Grid MP」環境に適応させたもの。化合物データを分割し、複数のパソコン上で同時に計算する方法で処理をグリッド化しており、各ジョブが比較的小さいことやアルゴリズムの特性などから、事務用のパソコンでも高価なクラスターシステムと同等の計算能力を実現できるという。
JBIRCの構造ゲノム解析グループ構造情報解析チームの福西快文博士は「sievgeneは他の商用ドッキングソフトにひけをとらない精度を有した国産プログラムであり、センター外のユーザーにも使ってほしいと思う。最初からグリッドに対応しているので導入しやすく、事務用のパソコンでも十分な性能が出るため、より広範囲の創薬研究者や、たん白質の立体構造解析を必要とする構造生物学者にも利用してもらえると考えている」と話している。
一方、住商エレクトロニクスは昨年にユナイテッドデバイセズと代理店契約を締結しており、今後も積極的にグリッドソリューションの提案と実装を推進していく考えである。