マイクロソフトがWindowsXPのSP2を提供開始
全国の郵便局窓口でも配布、「1日も早い適用」訴える
2004.09.02−マイクロソフトは1日、WindowsXPのセキュリティ機能を強化した「サービスパック2」(SP2)を開発し、2日から無償配布をはじめると発表した。インターネットを通じてダウンロードできるほか、CD-ROMを全国の郵便局の窓口で入手できるようにする。記者発表会には総務省情報通信政策局の情報セキュリティ対策室課長補佐が同席し、異例にも国民に対して「1日も早い導入を」と呼びかけた。
今回のSP2は、事実上のバージョンアップに相当する大幅な機能強化だといわれており、ネットワーク保護機能の強化、安全なインターネット閲覧、安全な電子メール利用、メモリー保護機能の強化など、セキュリティ面を重点的に改善したもの。
ファイアーウォールやウイルス対策、自動更新機能などセキュアな設定をユーザーに促す「ウィンドウズセキュリティセンター」を搭載。危険なコンポーネントが知らないうちに入り込んだりしないように、常に監視できるようにした。
提供形態はオンラインとオフラインがあり、オンラインではウィンドウズアップデートおよびダウンロードセンターを利用して、2日の午前0時から開始している。ダウンロードサイズは、XPプロフェッショナル版で最低100メガバイト、XPホーム版で同80メガバイト。これまで一度もウィンドウズアップデートしていない場合は最大で270メガバイトとなる。また、企業ユーザー向けの自動更新機能による適用では、評価期間を考慮して29日からの提供とする。さらにしばらく様子をみたいユーザーのために、自動更新させないためのツールも用意しているという。
一方、オフラインでは10月1日から全国の郵便局(約2万5,000カ所)の窓口で解説書付CD-ROMを配布する。パソコンショップなどの店頭での配布も17日から行うほか、この間行っていなかった雑誌付録への添付の形でも行き渡らせることにした。
今回のSP2は、大幅な機能強化が施された弊害として、既存のアプリケーションで不具合が生じるなどの問題点も指摘されており、導入・適用には慎重な対応が必要ともいわれている。このため、同社では以下のサイト(www.microsoft.com/japan/windowsxp/compatible/sp2/)で互換性情報を公開している。
発表会の中で同社のマイケル・ローディング社長は、個人ユーザーにはSP2を必ず適用することとウイルス対策ソフトをインストールすること、企業ユーザーにはデスクトップの集中管理および管理ポリシーを導入することとSP2の早期検証・適用、パートナー各社には顧客に対するSP2適用を促すことと自社製品の検証と対応を進めるように訴えた。
今回の発表会の中でとくに異例に思えたのは、プレゼンテーションの中盤で総務省・情報セキュリティ対策室の高村信課長補佐が登壇したこと。高村氏はなるべく最新版のソフトを使うべきだと述べ、SP2は無償であり、今後のベースラインになるものだと表現した。そして、「個人ユーザーの方は、念のためバックアップをとったうえでなるべく早くSP2を適用してほしい。業務で使っている方は、まずはシステム管理者に確認し、可能なかぎり早期に適用してほしい。システム管理者の方々は、現在利用中のソフトウエアとの整合性を確認し、なるべく早期にSP2を適用可能な環境整備をしてほしい」とまとめた。
日本政府がSP2の普及を後押しする真意は不明だが、配布に当たって日本郵政公社が全面的に協力していることもあり、マイクロソフトと政府との関係が良好であることは十分にうかがえたといえそう。