2005年春季CCS特集:ナノシミュレーション
MD計算で深いノウハウ、溶解度予測で成果
2005.06.27−ナノシミュレーションは、分子動力学法(MD)の独自のノウハウを武器に共同研究のスタイルでの事業を展開。最近では合成高分子を対象とした分野に集中している。
同社が自社開発したMDソフトは「NanoBox」。10年間の計算手法の研究とプログラムの改良の末、かなり高いレベルのシミュレーションが可能になってきた。とくに、溶解度の計算に成功したことが最近の目立った成果だという。
これは、高分子に対する気体の溶解度を予測するもので、例えば、燃料電池システムの材料開発などに役立つ。高圧の水素ガスが高分子材料を透過するかどうかなど、実験の難しいテーマがシミュレーションで解決できれば、周辺に与えるインパクトは大きい。
このような新しい系での計算は、相互作用の力場パラメーターづくりが問題となる。かなり複雑で専門的な作業であり、それ自体がいわばノウハウの高まり。MD専門に深く取り組んできた同社がもっとも得意とするところでもある。
純粋に研究としてもパラメーター改良を手がけており、例えば、いまは水のパラメーターとして良いものがないため、それを解決しようと開発に着手している。研究成果として広く公開するつもりで進めているという。
一方、液晶材料分野でも、フランク弾性定数と回転粘度、相転移温度に加え、レズリ粘性の6つの要素をそれぞれ計算で評価することに成功。液晶の基本的物性がすべて予測可能になった。