材料設計支援システムOCTAが普及へ一段と弾み
インストーラー付きCD-ROMに予想外の注文、最新2005年版をリリース
2005.06.03−大学連携型経済産業省プロジェクトで開発された材料設計支援システム「OCTA」の普及に向け、ここへきて一段と弾みがつきはじめている。インストーラー付きのCD-ROMを作成して4月25日から受け付けを開始したところ、1ヵ月間で50枚の注文が寄せられた。サポートや情報交換のためのBBS(電子会議室)への登録者もそれ以来増加しはじめ、現在では約980人に達している。開発のリーダーを務めた東京大学大学院の土井正男教授は「導入の敷居を少しでも下げたいとつくったCD版だったが、予想外の反響に驚いている。これからも、普及に向けても知恵を絞っていきたい」という。
OCTAは、2002年3月まで実施された経産省プロジェクト「高機能材料設計プラットホームの開発」(通称・土井プロジェクト)で開発されたシステムで、ソフトマテリアルを対象にした統合シミュレーション環境として、いくつかの計算エンジン群と基盤ソフトから成り立っている。プロジェクト終了後もボランティアベースで開発が続いているのがユニークなところで、最新の2005年版がリリースされたばかり。
専用サイト(http://octa.jp/)からソースコードとバイナリーをダウンロードすることができるが、実際にインストールするためには若干のコンピューターの知識が要求される。今回のCD-ROMはこの2005年版がだれにでも導入できるように専用のインストーラーを装備したもので、Windows版とLinux版、MacOSX版の3種類が用意されている。料金は実費として4,000円だが、研究室などでの一括導入に便利な2枚パック(5,000円)、3枚パック(6,000円)も注文できる。
5月末までに50枚の申し込みがあったが、韓国や中国、ギリシャ、スロバキア、オランダなど海外からのオーダーも目立っているという。
OCTAの活用に関しては、新化学発展協会の先端化学技術部会・コンピューターケミストリー分科会において、高分子ワークショップとして研究会(http://www.aspronc.org/02bukai/25sentan_ws.html)が組織されており、約50人の研究者が参加して検証や応用研究を進めている。こうした活動を通しても、OCTAの普及の広がりが期待される。