ターボリナックスがLinux上でWindowsアプリの実行を可能に
次期OS「FUJI」に搭載、企業ユーザーへの浸透図る
2005.09.23−ターボリナックスは21日、次期デスクトップOS(基本ソフト)である「FUJI」(開発コード名)の報道関係者向け披露会を開催した。正式発表日は10月20日、製品リリースは11月中旬の予定で、現時点ではベータ版の段階であるため製品仕様は完全に固まっていないが、Linux上でWindowsアプリケーションが動作することを可能にする世界初の新機能「David」の搭載が注目される。
新しいFUJIは、現行のTurbolinux10で実現した日本語環境にさらに磨きをかけるとともに、製品の体系も変更する。Turbolinux10では、基本のTurbolinux10Desktop、マルチメディア拡張を施したTurbolinux10F、家庭向けにデザインされたターボリナックスホーム−といった製品構成をとっているが、FUJIでは基本のOSをベースにして、そこにプラグインというかたちでマルチメディアやビジネス、ホームユース、セキュリティなどの拡張機能を追加で提供していくというスタイルに変える。
このため、オンラインアップデート機能も強化し、バグフィックスなどの通常の更新に加えて、さまざまなアプリケーションをプラグインとして自動的にダウンロード、インストールできるようにする。
また、起動時間をほぼ半減させるなどのパフォーマンス向上、ウイルス対策ソフトのバンドルなども計画されている。
さて、今回のFUJIの最大の特徴は、Windowsアプリケーションをそのまま動かす「David」を搭載したこと。Turbolinux10でもWindowsとのルック&フィールの統一、マイクロソフトオフィスとのファイル互換性を持つ「スタースイート」の搭載など、Windows互換には力を入れてきたが、今回はそれが大幅に前進したことになる。
Davidはフィリピンのベンチャー企業であるスペックオプス社が開発したもので、ターボリナックスがこの独占販売権を取得し、FUJIに組み込むことになった。これは、共通モジュールの「Davidエンジン」と、動作させるWindowsアプリケーション個々に専用のプラグイン型モジュール「Davidイネーブラー」で構成される。
同社では、Davidを企業ユーザー向けの機能として位置づけており、マイクロソフトオフィスやインターネットエクスプローラー、ロータスノーツなどのDavidイネーブラーを提供する計画。企業で使われている特殊な業務アプリケーションについては、スペックオプスとの連携によって個別対応でDavidイネーブラーを用意していきたいとしている。
今回のプレスイベントのデモンストレーションでは、David上でCD-ROMのオートランを機能させて自動的にインストーラーが立ち上がる様子や、Windowsのエクスプローラーと同じスタイルでフォルダー構造やファイルのブラウジングができるDavidエクスプローラーを使って、直接実行ファイルをダブルクリックしてアプリケーションを起動させる操作を披露した。ワードやエクセルのファイルも問題なく開くことができていた。
Windows互換機能では、Davidのほかにも実装中の隠し球があるということで、製品版が期待されるところだ。