2006年秋CCS特集:ウェイブファンクション

機能強化した最新版をリリース、保守契約も推進へ

 2006.12.13−ウェイブファンクションは、使いやすさ抜群の分子モデリングソフトウエア「Spartan」を企業向けから教育用途まで幅広く展開。10月から12月にかけて、最新バージョンのリリースを完了した。

 最新の「Spartan06」にはいくつかの新機能が搭載されているが、まずは構造式作図ツールのChemDrawとの連携。ファイルをインポートするのではなく、Spartanの中からダイレクトにChemDrawを呼び出し、構造式を直接取り込むことができるようにした。細かなことだが、操作性が大きく改善される。

 また、今年の5月に薬化学者向けとして登場した分子重ね合わせソフト「Trident」の機能も包含された(フルエディションのみ)。

 基本の解析エンジンは、Q-Chemバージョン3ベースに機能強化され、高精度で高速なRI-MP2計算などに対応。複数の基底関数を組み合わせて、大きな系などを扱うときに、部分によって計算の粗さを切り替えたりすることも可能になった。

 また、データベース(DB)関連の機能では、Spartanの中から米連邦標準技術局(NIST)やケルン大学のスペクトルDBにアクセスして、データを取得する機能が追加されている。

 これにより、Windows版はSpartan04から06版へと完全に切り替わった。マッキントッシュ向けに関しては、年明けに04版のインテルマック対応版を用意し、そのあとに06版の移植作業に入る。Linux用の06版の発売予定は来年半ばとなっている。

 同社では、企業向けでは保守契約を推進中。3年間を基本とし、バージョンアップなどを保証するもので、Spartanに内蔵されているメイブリッジなどのDBが定期的に更新されることを理由に保守を結ぶユーザーもいるという。

 一方、Spartanのヘビーユーザーでもある東邦大学・理学部の幅田揚一助教授とタイアップし、高校の化学に登場する数百個の分子の解析事例DBを体験版とともに配布する計画もある。