マイクロソフトがSQLサーバー2005を機能強化
SP2提供開始、エクセルからワンタッチでデータマイニングが可能
2007.02.09−マイクロソフトは、データベース(DB)管理システム「SQLサーバー2005」を強化し、運用管理の自動化を実現するサービスパック2(SP2)と、そのもとで利用できる拡張ソフトを13日から無償で提供開始する。とくに、エクセルで作成した集計表を用いて簡単にデータマイニングを行う新機能を武器に、業務アプリケーションの基盤となるDBエンジンとしてさらなる普及を図っていく。
SQLサーバーは、1994年のバージョン4.2発売以来、ワールドワイドで年平均20%の成長を達成しているが、2005年から市場投入したSQLサーバー2005の普及ペースは昨年に一段と加速したという。同社では、この要因として、大規模なグローバル企業において基幹システムへの採用が増加していること、TPC-C/Hベンチマークでトップクラスの性能を実証してること、SAP新規導入事例の約半数でDBに採用されていること、またぜい弱性がきわめて少ないことなどがあげられるとしている。
とくにセキュリティ面では、第三者機関の調査においてSQLサーバー2005は昨年と一昨年の2年連続でぜい弱性がゼロ。対して、昨年にオラクルは54件、DB2は4件、MySQLは14件、Sybaseには2件のぜい弱性が発見されているということだ。
今回のSP2は、複数のサーバーを遠隔から運用管理するための自動化機能が強化されたほか、数値データを可変長列として保存できるデシマル型データタイプのサポート、プランキャッシュ強化によるパフォーマンス向上、レポーティング機能強化などの特徴を持つ。
とくに、新機能としては新しい「データマイニングアドイン」が注目される。SQLサーバー2005のビジネスインテリジェンス(BI)ソリューションであるアナリシスサービスを、エクセルまたはVisioから透過的に利用するツールである。
通常、データマイニングを行う際には、分析の専門家が使用するマイニングアルゴリズムを選定し、生データのなかから分析用のモデルを構築し、そのモデルを検証するという事前作業が必要になる。その後に、実際のデータをモデルに流し込み、データに内在するパターンや傾向を抽出するという手順をとる。一般ユーザーが自分でデータ分析を行うには敷居が高いのが実情だったという。
これに対し、今回のアドインを利用すると、データをエクセルに用意しておけば、やりたいことのボタンを押すだけ。アルゴリズムを選んだり、モデルを作成したりする作業はまったく不要となる。アドインを導入すると、エクセル2007のリボンインターフェース内に「テーブル分析ツール」が組み込まれ、「主要な影響元の分析」(指定の列の値が他の列の値からどのような影響を受けているかを特定する)、「カテゴリーの検出」(類似の属性を持つ行をグループ化、クラスタリングする)、「例の全体適用」(データのパターンに応じて欠損値を類推する)、「予測」(将来の値の推移を予測する)、「例外の強調表示」(データのパターンから外れる値を特定する)、「シナリオ分析」(ある値の変化と他の値の変化のパターンを類推する。結果を固定して適切な投入データを探ったり、投入データを入力することで結果を探ったりする)−の5種類のデータマイニングをワンクリックで行うことが可能になる。
背後では、アナリシスサービスに組み込まれている9種類のマイニングアルゴリズムが働き、テンポラリーモデルがつくられて分析を実行しているわけだが、ユーザーがそれらを意識することはない。
もちろん、専門家が複雑な処理を行うための「データマイニングクライアント・フォア・エクセル2007」も提供されるので、クレンジングや分割などのデータの準備、モデル作成とテストなどの作業を行うことも可能。「データマイニングテンプレート・フォア・Visio」を利用すれば、マイニングモデルを可視化して操作することができる。
このほかに13日から提供されるものに「SQLサーバー2005コンパクトエディション」がある。これは、スマートフォンなどのWindowsモバイル端末で動作可能なDBエンジン。インストールサイズとして、メモリーで2メガバイト、ディスクで5メガバイトという軽量でありながら、5ギガバイトのデータを管理できる。通常のSQLサーバー2005と同様にビジュアルスタジオでアプリケーション開発を行うことができ、再配布も含めてすべて無料となっている。SQLサーバー2005に接続する場合に、サーバー側にオプションでインターフェースを組み込む必要がある。
Windows搭載スマートフォン市場が本格化しつつあることから、新しいサービスの可能性が広がると期待される。