WindowsHPCコンソーシアムが本格的に活動開始
性能検証・教育的活動に力、デルなど新メンバーも加入
2007.01.23−スーパーコンピューターに代表されるハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の大衆化を目指すWindowsHPCコンソーシアムが、このほど本格的に活動を開始した。同志社大学の寄付教育研究プロジェクトの一環として昨年4月に設立されたもので、マイクロソフトのHPC専用OS(基本ソフト)である「Windowsコンピュートクラスターサーバー」(WindowsCCS)を大学内に導入し、10月には検証が行える環境を整備していた。今回、デルなどの新メンバーも加入したことから、いよいよ対外活動を本格化させ、大学内システムの利用申請を具体的に受け付け、稼働・性能検証の作業に入っていく。
WindowsHPCコンソーシアムは、同志社大学を中心に、OSベンダーのマイクロソフト、ハードウエア関連でビジュアルテクノロジー、アプリケーション関連のケイ・ジー・ティー、ソフトウェアクレイドル、ティージー情報ネットワークが共同で設立した中立的な団体。
WindowsCCSを搭載した小規模のPCクラスターを普及させ、科学技術分野の教育・研究の発展、ならびにビジネス用途にもHPCを身近なものとするため、実環境/実アプリケーションでの検証活動、情報発信、講習会の開催などの教育的活動を行うことを目的としている。
今年に入って、新メンバーとして、デル、エンジニアスジャパン、シーディーアダプコジャパンなどが加入した。
本格的な対外活動としては、今月18日に「PCクラスターの新潮流/パーソナルクラスター」と題して第1回セミナーを開催したのを皮切りに、2月15日には「エクセルが拓くPCクラスターの新世界」、3月12日(テーマ未定)と、セミナーを開いていく。場所は東京・大手町の同志社大学東京オフィス。
第1回セミナーでは、コンソーシアムのリーダーを務める同志社大学工学部インテリジェント情報工学科の廣安知之助教授の紹介に続いて、スケーラブルシステムズの戸室隆彦代表取締役の基調講演「HPCシステムの新たな可能性、パーソナルクラスターの考察」、マイクロソフトの林憲一HPCテクニカルエバンジェリストの講演「パーソナルクラスターに最適なインフラ、WindowsCCS」が行われた。そのあと、タヤンコンピュータジャパン、ゼプトテクノロジーズ、ビジュアルテクノロジー、HPCシステムズ、NECから各社の製品が紹介された。デスクサイド型で4−8ノードの搭載が可能な小型クラスターが中心となり、それぞれ静音性を強調する話しが目立った。
一方、大学内に設置されたPCクラスターは「SuperNova」(スーパーノバ)と名づけられており、AMDのオプテロン(1.8GHz、デュアルコア)を搭載した16ノード(32プロセッサー)の構成。このほかに検証用のクラスターもあり、そちらはジーオン(2.66GHz、デュアルコア)を採用したシステムとなっている。
大学によるLinpackベンチマークでは、理論最大性能115.2ギガFLOPSのところ、WindowsCCSでは約56%の実行性能を引き出すことができた。同じクラスターをLinuxで動かした場合の実行性能は約63%だが、ほぼ同等といえるということだ。また、ネットワークのスループットがLinuxよりも劣るという結果が出たが、これもドライバーの更新で改善されていくとみられる。
今後は、ユーザーからの検証依頼にも応じていくことにしている。