2007年春CCS特集:化学情報協会

多様な結晶構造DBを提供、解析ソフトも販売強化

 2007.06.28−化学情報協会(JAICI)は、CASやSTNなどのオンラインサービスの提供で有名だが、最近ではケンブリッジなどの結晶構造データベース(DB)の提供、さらには解析ソフト分野へと事業領域を広げてきている。

 JAICIが扱っている結晶DBは、40万件の有機化合物・有機金属化合物結晶構造データを集めたCSD(ケンブリッジ結晶構造DB)、独FIZカールスルーエと米NISTが製作したICSD(無機結晶構造DB)、加TothインフォメーションシステムズのCRYSTMET(金属結晶構造DB)−の3つ。

 とくに、CSDはX線・中性子線回折で得られた情報を蓄積。世界で最も権威のある結晶構造DBとして結晶学研究者や分子設計研究者に広く利用されている。

 このCSDを開発している英CCDCは、DBに加えて解析ソフトも提供しており、それもJAICIを通して入手することができる。その1つは粉末結晶解析ソフト「DASH」。指数付けから格子定数の決定、空間群の決定、初期構造決定、構造精密化までの一連の機能をそろえており、解析の専門家だけでなく一般の研究者でも利用しやすいことが特徴。とくに、今後注目される有機粉末X線データに関する解析機能が強化されていることも見逃せない。

 また、ターゲットたん白質に対する薬物分子のドッキングシミュレーションを行う「GOLD」も販売中。遺伝的アルゴリズムを用いたバーチャルスクリーニングにも対応しているが、CSDから得られたコンホメーション情報や非結合相互作用の知見を取り入れて、計算を効率化できることが大きな特徴になっている。