ヒューリンクスがHyperChemの最新バージョン8を発売

分子軌道法の外部エンジンを組み込み、SBDD領域へ普及促進

 2007.06.28−ヒューリンクスは、加ハイパーキューブ社の統合型分子設計支援システム「HyperChem」の最新バージョン8を販売開始した。4年ぶりのバージョンアップとなり、分子軌道法の外部計算エンジンを柔軟に取り込むためのプラットホーム機能が強化されている。WindowsVistaにも正式対応した。8月末まで、キャンペーン価格として、一般向け26万5,650円から、教育向け17万4,300円からで提供する。 HyperChemをSBDD(ストラクチャーベースドラッグデザイン)専用システムとして使いやすく変身させるアドオンソフト(分子機能研究所)とのセット販売も推進する。

 HyperChemは、バージョン7.0が2001年10月、バージョン7.5が2003年9月にリリースされたため、久しぶりのバージョンアップとなる。分子設計のためのわかりやすいGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)に加え、分子力場法/分子動力学法/分子軌道法の計算化学エンジンも内蔵したトータルパッケージとなっている。

 ただ、分子軌道法エンジンが比較的弱かったため、今回のバージョン8では外部プログラムを柔軟に取り込むインターフェースを組み込んだ。GAMESS、PQS、MOPAC2007のほか、GaussianやQ-ChemなどもHyperChemのメニュー内に登録することが可能。このインターフェースは公開されているため、ユーザーが自作のプログラムを組み込むことも容易である。

 また、複数のジョブをバッチ処理できる機能も追加された。計算エンジンの機能強化とあいまって、利用範囲が大きく広がるという。

 そのほか、反応速度定数の計算、平衡定数の計算、熱容量の計算、分子動力学によるたん白質の振動スペクトル解析など、多数の新機能が盛り込まれている。

 一方、分子機能研究所が開発しているアドオンソフトは、標的たん白質のホモロジーモデリングから薬物候補化合物とのドッキングシミュレーション/バーチャルスクリーニングまで、SBDD領域の解析手順を高度に自動化・システム化したもの。今回の最新版はバージョン7.5から大きく変わったため、かなりの苦労があったが、ベータ版の段階からの慎重な技術連携により、バージョン8との同時リリースで対応を完了した。ヒューリンクスでは、HyperChemのバージョンアップが好機になるとして、製薬メーカーや大学などへのセット販売をあらためて強化していく。