化学情報協会が特許情報の評価・共有ツール「STN Viewer」
情報共有促進で業務効率化、低料金で手軽に利用可能
2007.08.09−化学情報協会は、化学をはじめとした総合的な科学技術情報データベースサービスを提供している米CASと独FIZカールスルーエが新しく共同開発した特許評価ツール「STN Viewer」(STNビューワー)を、国内においてリリースした。検索した特許情報をプロジェクト単位で保管し、関係者間で共有するなど、業務効率化のツールとしても役立つ。使用に当たってライセンス料や基本料金はなく、特許全文の詳細表示などで課金されるだけ。30件ほどの特許情報を絞り込んだプロジェクトの場合、1万円ほどの費用ですむため、手軽に試してもらいたいとしている。
STNは、世界中の科学技術文献・ファクト情報を網羅したデータベースサービス。今回のSTNビューワーは、STNで検索した特許情報を、専門のサーチャーではない人が、簡単に管理・評価・共有できるようにするツールとなっている。
STNで検索し絞り込んだ特許集合をSTNビューワーにインポートすると、ウェブブラウザー上に特許のタイトル一覧と抄録が表示される。一覧表示画面で、各特許の重要度を星印を付けてランク分けしたり、自由なラベルを付与して分類したりすることが可能。
そのうえで、特許全文を表示し、自由なキーワード(前方一致、後方一致、中間一致、類似語・同意語など)を色分けしてハイライトさせるなどして、その特許情報を評価することが可能。ドキュメントハイライトマップを使えば、本文全体の中での各キーワードの出現位置をひと目で把握できるので、概要を理解しやすい。文字列と数字を組み合わせたキーワードも扱え、例えば「Claim %」とすることで、「Claim1」、「Claim25」、「Claim121」などの言葉を一度にハイライトさせることができる。
また、各特許情報には注記のためのノートを付すことが可能。日本語の入力にも対応しており、構造式などを貼り付けることもできる。特許情報のデータ自体はすべて英語だが、プロジェクト名称やラベル名にも日本語を使うことができるため、プロジェクトを共有する際にわかりやすくなるという。
とくに、共有相手はSTNとの契約などは不要。特殊なURLを相手に伝えることでプロジェクトを開くことができるようになる。接続の際、共有用IDが必要になるが、このIDは無料で発行されるため、共有相手には費用は一切発生しない。同僚や知財担当者、弁理士・弁護士などと共有することによって、経費を抑えて業務効率を大幅に向上させることができる。
STN自体は従量課金であるため、特許全文をもう一度みたいときには再度課金されてしまうが、STNビューワーにプロジェクトとして保存してしまえば、何回閲覧しても1回分の料金で済むというメリットもある。