2007年秋CCS特集:日本総研ソリューションズ

高分子のナノ領域を解析、原子レベルMD計算を強化

 2007.11.26−日本総研ソリューションズは、高分子材料のメソ領域をシミュレーションできる物性解析ソフト「J-OCTA」を製品化。実用性の向上へ向けてさらなる機能強化を図っている。経済産業省プロジェクトで開発された「OCTA」の計算エンジンを利用しつつ、独自の拡張を着々と施してきている。

 J-OCTAは、今月半ばに最新バージョン1.3がリリースされたばかり。フリー版OCTA2006に対応しており、新エンジンであるレオロジーシミュレーター「NAPLES」用のモデル構築機能が強化されたほか、これまでのLinuxに加えて、Windows上での動作も可能になった。PCクラスターなどの高速な計算環境はLinuxが基盤となるが、パーソナル環境ではWindowsが使いやすい。

 また、今回の最新版では、アトミスティック分子動力学(MD)への対応が強化された。もともと、J-OCTAはナノスケールを対象にしているため、MDも粗視化された系を扱うのが基本だったが、やはり分子・原子レベルのMDを精密に行い、そこからナノスケールへと計算を発展させたいというユーザーニーズにこたえたもの。

 具体的には、自社開発の並列処理型MDエンジン「VSOP」の高速化・多機能化を実施。結晶構造や無機物質を含む系にも対応できるようにした。また、高精度な力場パラメーターを用意するため、米イーオンテクノロジーの「ダイレクトフォースフィールド」(総代理店は菱化システム)とのインターフェースを確立した。これらにより、J-OCTAのアトミスティックMD機能が大幅に充実したという。

 今後の予定としては、来年4月にバージョン1.3のサービスパックを提供し、OCTA2007への対応を図る。さらに秋には1.4のリリースが計画されている。

 今年の10月末には第2回ユーザー会が開催されたが、衝突解析を得意とする「LS-DYNA」ユーザー会との共催ということで、衝撃に強い材料をJ-OCTAで調べるなどの興味深い事例が紹介されたという。