マイクロソフトが次期SQLサーバー2008の新機能を公開

CTP版として開発と検証を推進、旧版の信頼性ベースに100項目の新機能組み込み

 2008.01.17−マイクロソフトは15日、報道関係者向け説明会を開催し、年内に出荷を予定している次期データベース管理システム(DBMS)である「SQLサーバー2008」の製品出荷に向けたスケジュールと新機能の概要を公表した。通常のベータプログラムよりも細かなアップデートが行われる「CTP」(コミュニティーテクノロジープレビュー)のもとで開発が進行しており、昨年の11月後半に「CTP5」版が公開されたところ。コア技術は現行のSQLサーバー2005を継承しつつ、100項目にわたる新機能を搭載している。正式な製品発表は、米国では2月27日、日本では4月15日に行われる。

 SQLサーバー2008は、いわば“枯れた”製品であるSQLサーバー2005をベースに、新機能の組み込みや機能強化を実施するかたちで開発されている。つまり、SQLサーバー2005ベースの基本部分が常に製品レベルに近い水準が保たれるとともに、新機能・機能強化した部分も順次「CTP」として組み込まれる。このため、通常のベータ版と異なって、CTP版は新機能を実用的に検証できる環境を整えられるというメリットがある。このことを利用して、製品出荷までにパートナーにおける技術者育成やISVにおけるアプリケーション開発を進めているほか、代表的なユーザーとの間で早期導入プロジェクトを展開させている。

 現在のCTP5版には、新機能の80%が製品出荷レベルに近い品質で実装されており、実際のシステム開発に向けた実証作業を開始することが可能だという。次のCTP6版では、新機能のほぼすべてが利用できるようになる。

 同社の説明によると、今回のSQLサーバー2008の特徴は、すでに金融機関などの基幹業務系で実績豊富なSQLサーバー2005の信頼性を継承するとともに、JSOXなどのコンプライアンス対応、仮想化とサーバー統合への対応、大規模データの管理性向上、社員の生産性を向上させるBI(ビジネスインテリジェンス)基盤の提供−などがあげられる。

 コンプライアンス関係では、データのセキュリティを守るための「透過的なデータ暗号化」、規定されたデータ管理のポリシーを自動的に適用する「ポリシーベースの管理」、企業全体の監査レポートを一元管理できる「データ操作監査」といった新機能を搭載。暗号化では、既存のアプリケーションを変更せずに簡単な設定とワンボタンだけで、データベースに暗号をかけることができる。復号化するためには、キーや証明書が必要になるため、データを持ち出されても内容が漏えいすることを防ぐことが可能。

 仮想化とサーバー統合については、1台のサーバー上で最大50のインスタンス(エンタープライズエディションの場合であり、他のエディションは16まで)を管理できるようになり、さまざまなアプリケーションを単一サーバー上で統合して運用することが可能。また、「リソースガバナー」機能を利用してメモリーやCPUの使用率などをアプリケーションやユーザー単位で自由に制限することができる。リソースプールを作成して、その中に複数のワークロードを割り当て、それぞれの優先順位を設定できる。

 大規模データへの対応では、時系列データを月次などのパーティションで分割して管理しやすくする「データパーティション」、ストレージの削減と検索時のパフォーマンス向上を実現する「データ圧縮」、使いやすい「バックアップ圧縮」などの機能を搭載した。

 BI関連では、レポーティングの表現力が大幅に向上したほか、地図情報との連携が可能になったことが注目される。緯度・経度情報を格納できるデータタイプ(ジオメトリー型とジオグラフィー型)が新たに追加されており、特定の地点や経路・エリアを「バーチャルアース」の地図と結び付けて、データベース内の各種情報と合わせて地図にマッピングすることが可能になった。興味深いマーケティングツールになると期待される。