NECがプロセス製造業向けERPの最新版

生産管理の機能・操作性を強化、テンプレート導入でパートナー戦略展開へ

 2008.02.19−NECは18日、化学・食品・消費財などのプロセス製造業向けERP(エンタープライズリソースプランニング)パッケージ「FlexProcess」(フレックスプロセス)の最新バージョン7.0を開発、販売開始したと発表した。生産管理分野の機能を強化し、使いやすくしたことが特徴。とくに、初めてテンプレートを用意したことで、システム構築期間を最大55%短縮できるようになった。これにより、本格的なパートナー経由での販売にも乗り出す計画で、既導入ユーザーの情報システム子会社の中から事業化に手をあげるところが出てきている。販路を広げることで今後3年間に50社への導入を見込む。

 部品表と工程表を基盤にした一般的な生産管理では、副産物や連産品が生じたり、同じ原料でも成分値や濃度が異なったりするなど、プロセス産業特有の生産工程に対応させることは難しい。このため、この分野は手作りのソフトが多く、パッケージ化が進んでいないといわれている。

 同社のフレックスプロセスは、さまざまな原材料や設備、ヒトも含めた全体のリソースを“資源”として管理し、プロセスフローに沿ったかたちで生産モデルを構築することが可能。プロセス産業の実態に即した生産管理が行えるため、約300件の導入実績を築いてきている。最近では、中国での採用事例も増えてきているという。

 今回のバージョンアップでは、複雑な資源マスター管理を利用者の担当業務に合わせて簡略化してわかりやすくみせる機能を組み込んだ。また、原価計算の一連の処理手順をあらかじめ選択しておいて自動計算させるなど、操作性を大幅に改善した。

 それに加え、今回注目されるのはテンプレート「F1ソリューションズ」が初めて導入されること。第1弾として生産管理領域の「フレックスプロセス/F1生産管理」を500万円からで提供する。これまではアドオン開発する必要があった在庫入出庫実績入力、検査実績入力、在庫受け払い実績入力などの業務画面を標準的に提供することが可能。テンプレートの使用により、構築期間とコストを大幅に削減できる。

 F1ソリューションズのシリーズ化を進める予定で、今年の9月をめどに品質管理領域、来年度下半期に原価管理領域のテンプレートを製品化していく。

 これにより、原材料・中間製品の原価・在庫量の正確な把握やコスト管理の徹底、生産現場における配合・レシピ管理、品質管理の徹底、経営レベルにおける顧客別の収益管理や迅速なビジネス判断の実現−などの効果を生み出すという。

 テンプレートが用意されたことでパートナー戦略の広がりも期待される。同社では新たにフレックスパートナー制度を設け、パートナーがフレックスプロセスの販売・SI・保守を行うことができるよう、支援体制を含めて整備した。とくに、業務ノウハウを持つユーザー系のシステムインテグレータを組織したい考え。3年間で10社ほどの新規パートナー獲得を目指す。