2008年春CCS特集:富士通
材料分野で新統一ソフト発売、医薬候補化合物自ら創出も
2008.06.25−富士通は、材料科学分野では新パッケージの「SCIGRESS」、創薬支援分野では最先端の内部ソフトの提供や受託サービスを中心にするなど、新しい構想でCCS事業を展開している。
SCIGRESSは、同社が20年以上にわたってCCSを推進してきた蓄積を踏まえ、自社開発パッケージの統一ブランドとして打ち出したもの。間もなくそのバージョン1が提供開始される。
最大の特徴は、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を含むシステムのコアと、シミュレーションを行うソルバー部分が完全に独立していること。そして、両社をつなぐためのAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を公開し、外部のプログラムを自由に組み込めるようにした。実際に、ナノ材料向け第一原理計算ソフト「PHASE」や配座探索ソフト「CONFLEX」といった他社製品とのインターフェースが用意されている。
ユーザーの要望を最大限に重視して毎年定期的にバージョンアップしていく計画であり、じっくりと腰を据えて大型商品に育成したい考えだ。
一方、創薬支援ビジネスでは、独自のCCS技術を駆使して探索した新薬候補化合物のライセンシングに向けての動きが着々と進んでいる。IgEレセプター阻害剤(アレルギー薬)とKSP阻害剤(抗がん剤)をターゲットにし、現在はさらに活性レベルを高めるための最終調整の段階にあるという。関心を示す製薬会社もあらわれているということで、今後の行方が注目される。
また、同社では米ケンブリッジソフトや加ACDなどのライセンス製品も販売しているが、これらも評価が高く、CCS事業の下支えに大きな貢献をしている。