2008年春CCS特集:マトリックスサイエンス

プロテオミクス解析の定番ソフト、データマイニングツールも戦列

 2008.08.30−マトリックスサイエンスは、プロテオミクス解析を支援し、質量分析データからたん白質の同定を行う「MASCOT」を提供するベンダー。ペプチドの質量データにマッチするアミノ酸配列をたん白質やゲノムの配列データベースから検索することによって、測定サンプルに含まれるたん白質・ペプチドを同定する仕組み。確率的なスコアリングアルゴリズムを採用しており、精度の高さに定評がある。この分野の標準的なソフトとして、世界中で豊富な実績を誇る。

 MASCOTは、日本市場に導入されてからすでに8年が経過し、プロテオミクス研究の定番ソフトとして市場は成熟化してきている。永久ライセンスのみと価格体系もシンプルで、最近はバージョンアップや追加ライセンスの提供がメインのビジネスになっているという。

 ただ、将来的には診断・治療などの医療分野へと応用が広がる可能性がある。そうした用途では、機器にソフトが組み込まれるなど、新しい形態の製品化を模索する必要が生じるとしている。

 さて、同社の日本法人では、昨年8月から米プロテオームソフトが開発した「Scaffold」の取り扱いを開始した。これは、MASCOTの検索結果を取り込んで、サンプルごとに整理・検証できるデータマイニングソフト。サンプル間の同定結果(各たん白質の同定確率、ユニークペプチド数、ペプチド由来のスペクトル数、同定ペプチド数、たん白同定ペプチド数など)を比較したり、たん白質と同定帰属ペプチドの詳細な情報を閲覧したりすることが可能。統計解析の機能もあり、MASCOTのパワーユーザーにとってきわめて利便性が高い。

 ユーザーからの要望で販売をはじめたが、実際に引き合いも好調だという。