2008年春CCS特集:サイエンス・テクノロジー・システムズ

共同研究成果を相次ぎ製品化、自社開発資産の有効活用も

 2008.06.25−サイエンス・テクノロジー・システムズ(STS)は、大学などとの共同研究の成果が結実して、具体的な製品展開・事業展開に結びついてきている。

 その1つは、経済産業省「地域新生コンソーシアム」の一環で北海道大学などと共同開発したたん白質誘導適合構造解析システム「Olivia」。NMRスペクトルの測定からデータ処理、帰属解析、立体構造解析までの一連の作業をハイスループットで実施することができる。NMR装置の方がX線装置よりも扱いやすいことから、民間の製薬企業などで需要が見込めるとして昨年8月から外販してきたが、実際に販売実績も出始めている。

 また、やはり北大との共同研究に基づく質量分析(MS)スペクトルの高速自動解析ソフト「マスオートメーション」も製品化している。糖鎖プロジェクトに利用されているソフトで、解析が自動化されているため、統計処理などにすぐに持ち込めるという特色がある。

 また、今年の4月には北大などとの共同で合同会社「札幌NBT」を設立した。導電性ナノボールの企業化を目指すグループで、STSはソフト開発とマーケティング、セールスを担当する。電子デバイス、触媒、イメージング、ライフサイエンスなどの分野で用途開発を進める。

 一方、同社のCCS事業としては、米アクセルリスの代理店活動も大きな位置を占めている。とくにプラットホーム製品の「パイプラインパイロット」に注目しており、ワークフローを構成するコンポーネント開発にも独自に取り組んでいる。自社で開発してきたプログラム資産の有効利用も図っていく。

 アクセルリス製品については、大学教育での採用もターゲットにしており、リーズナブルな教育用ライセンスを用意して提案活動を展開中。アクセルリスはCCS分野で標準的に浸透している製品であり、学生が企業の研究環境に慣れておくという意味で、就職の備えにもなるということだ。