NECソフトがプロテオミクス研究支援システムBIOPRISMを事業化
実験データと臨床情報を一元管理、NECから製品を移管
2008.08.08−NECソフトは、プロテオミクス研究を支援するとともに、実験データを臨床情報と関連づけてトランスレーショナルリサーチ(TR)推進のための情報基盤としても役立つシステム「BIOPRISM」(バイオプリズム)を販売開始した。研究サンプル、実験の詳細、実験データおよび解析結果を統合的に一元管理するとともに、検体にかかわる患者情報を匿名化してサンプルに関連づけることで、各種の臨床情報までもまとめて管理することが可能。価格は標準構成で400万円から。今後3年間に50セット/2億5,000万円の売り上げを見込んでいる。
BIOPRISMは、2005年4月にNECが開発・製品化したシステム。今回、NECソフトが開発スタッフを含めて製品全体を引き継ぎ、本格的に事業化を進めることにしたもの。これまでは、NECのバイオIT事業推進センターがこのソフトを扱っていたが、同センターは実態としては中央研究所傘下の組織。このため、NECソフトの医療ソリューション事業部で開発と販売が行われるようになったことは、製品が本格的な事業化のフェーズに入ったことを意味するという。
細胞内外に存在するたん白質の種類や機能を調べるプロテオーム解析は、次世代の治療・診断や創薬に役立つ情報を得る研究手段として注目されている。異なるメーカーの分析装置から得られたデータを総合的に検討し、公共データベースの探索やデータマイニングによりたん白質の機能や関連遺伝子を探るなど、さまざまなデータを活用することがますます重要になってきている。
BIOPRISMは、研究サンプルや実験解析で得られる多種類かつ膨大な情報を効率良く管理することが可能。実験で得られる2次元電気泳動データ、質量分析結果、たん白質同定結果、遺伝子チップデータなどを研究サンプルにひもづけて管理できる。また、患者匿名化IDとリンクさせることにより、実験データだけでなく、臨床検査データ、検査画像、診断情報などの臨床情報を含めて一元管理することができる。強力な統計解析ツールとの連携機能も提供される。
とくに、患者のサンプルを扱う場合、その情報が匿名化されているかどうかや、提供者が承認済みかどうかを管理する機能、政府倫理指針にのっとったユーザー権限管理機能など、指針や法令の遵守への対応も万全。米食品医薬品局(FDA)の21CFRパート11や厚生労働省のER/ES指針に準拠したシステム構築も可能となっている。
このように、臨床情報の取り扱いやTR推進に関連した機能が追加されたことが、NEC時代の製品と大きく変わった点だという。
製品構成としては、用途に合わせてモジュールを組み合わせた4種類のソリューションパッケージが用意されている。(下表参照)