アイログが環境対応型のSCMソリューション

サプライチェーンにおける二酸化炭素排出量を算出、環境を配慮した全体最適

 2008.07.25−アイログは、環境対応を配慮したサプライチェーンネットワークを実現できるSCM(サプライチェーンマネジメント)ソリューション「ILOG LogicNet Plus 6.0 XE」を国内で販売開始した。サプライチェーンにおける二酸化炭素排出量を算出し、それとコスト・配送・サービスレベルの間での最適解をシミュレーションする機能を備えている。原燃料の高騰下におけるコスト削減対策にも有効。価格は1,800万円からで、初年度に5社の受注を見込んでいる。

 今回の製品は、同社が昨年に買収した米ロジックツール社の主力製品。工場、倉庫、配送ラインの最適な数・場所・規模・管轄地域などを判断し、どの製品をどの工場で生産するかのプロダクションソーシングを含めた企業全体の戦略的サプライチェーンネットワークの計画立案を支援することができる。もともとアイログ社の最適化エンジンを組み込んでいた。世界で250社以上の導入実績があり、計画系SCMではSAP社の独占パートナーにもなっているという。

 とくに、今回の最新版で実装された「グリーンロジスティクスモジュール」は、ユーザー企業が環境に配慮した意思決定・計画立案を行うことを可能にするもの。サプライチェーンのネットワーク構成や輸送戦略などをさまざまにシミュレーションする際の二酸化炭素排出量を試算することができ、その結果としてコストとサービスレベルと環境をバランスさせた最適な意思決定を実現させる。排出量の上限を設定しておけば、それを制約条件として計画を調整することも可能。

 二酸化炭素排出量を計算するためのデータとしては、輸送関係では燃料効率と二酸化炭素換算係数、または運賃ごとの二酸化炭素量、倉庫関係ではその所在地別にエネルギー消費と二酸化炭素換算係数、適用範囲(倉庫の大きさまたは平均在庫量)、工場関係ではその所在地別に面積当たりのエネルギー消費、生産能力当たりのエネルギー消費、および二酸化炭素換算係数、生産関係ではその製品の生産ならびにその製品に使用される素材の生産に関連するエネルギー消費、および二酸化炭素換算係数を入力する必要がある。

 ただし、すべてのデータをユーザー自身で用意しなければならないわけではなく、燃料の種類別の二酸化炭素排出量、平均燃料効率の値、水上輸送と鉄道の二酸化炭素−運賃係数、米国各州および国別の電力−二酸化炭素排出量係数、建物の特徴別の消費電力などのサンプルデータが準備されている。これらは米国政府や世界資源研究所(WRI)などがソースとなっているが、日本の実情に合ったデータも用意していきたいという。