2008年冬CCS特集:富士通九州システムエンジニアリング

REACH対応で導入サービス、毒性・安全性予測機能強化

 2008.12.04−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は、自社開発したADME(吸収・分布・代謝・排出)および毒性予測システム「ADMEWORKS」の販売に加え、欧州でスタートした化学物質規制「REACH」専用の登録システムの導入サービスを開始して、評判を呼んでいる。化合物情報や物性データ、試験データ、安全性データ、各種ドキュメントなど、化学物質に関連した情報を一元的に扱う化学物質管理ソリューションのプロジェクト受注に結びつけたい考え。

 REACHでは現在、化学物質リストの予備登録が行われているが、そのために指定されている登録ソフト「IUCLID5」はサーバー(LinuxまたはWindows2003サーバー)向けでリレーショナルデータベースをセットアップする必要もあるため、IT専任者がいないと導入自体が難しい。また、システム運用管理の面でも敷居が高い。

 そこで、同社では IUCLID5 導入支援サービスを提供中だ。登録代行サービス事業者や大手化学メーカーなどに実績があり、ハードウエアとセットで納入してほしいという要望にも対応。今後は中堅化学メーカーにも対象を広げていく。

 化学物質の安全性データは、実際に実験して調べるほかに、計算で予測する手法も存在するが、同社のADMEWORKSはまさにそのための機能を持つ。将来的には、化学物質統合管理ソリューションという大きな体系の中に位置づけることも検討中だという。

 来年1月にはバージョンアップを予定しており、既存の22種類の予測モデルに加えて、染色体異常モデルの追加、発がん性モデルの改良を行う。モデル構築機能としては、富士通製の半経験的分子軌道法ソフト「MO-G」の計算結果をディスクリプターに利用できるようにする。

 今年の10月に新発売したADMEWORKS/コマンドプレディクターは、10万化合物を超えるような大量の化合物データをバッチ形式で一括処理できる。外部のワークフローツールとの連携も可能。同社は、米プラットフォームコンピューティングのジョブ管理ソフト「LSF」の代理店も務めており、コマンドプレディクターと組み合わせた導入事例が増えているという。