CASレジストリーの収録件数が1億件を突破
アズレノベンゾフラン誘導体を登録、化学情報協会がDB提供
2008.12.20−化学情報協会(JAICI)は、米国化学会(ACS)の情報部門であるケミカルアブストラクツサービス(CAS)の化学物質データベース「CAS REGISTRY」(CASレジストリー)に4,000万件目の物質が登録され、たん白質や核酸の配列情報と合わせてデータ収録件数が1億件を突破したと発表した。今回登録されたのはアズレノベンゾフラン誘導体で、医薬品の合成方法を改良する可能性を持つユニークな化合物だという。
CASレジストリーは、有機化合物、無機化合物、金属、合金、鉱物、配位化合物、有機金属化合物、元素、同位体、たん白質/核酸の配列、ポリマーなどの広範な化学物質情報を収録したもの。データベースは毎日更新されており、4,000万件の化学物質情報と6,000万件の配列情報を収録している。JAICIが提供している「SciFinder」や「STN」といったデータベースサービスから利用することができる。
今回4,000万件目の情報となったアズレノベンゾフラン誘導体(CAS番号=1073662-18-6)は、今年11月に発行された「Angewandte Chemie International Edition」誌で報告された物質で、その論文「白金結合ピリリウムイオンとアルケンの分子内Huisgen環化反応およびその後のベンジルC-H結合への挿入」には、アズレノベンゾフランを含む“炭素7員環”を持つ多環式物質の新しい合成方法が解説されている。
このような多環式物質は、いちいの樹皮から開発された医薬品Taxol(タキソール)などの天然物において中核的な構成要素になっている。このため、今回の物質または論文は、多環式の薬物分子の効率的な合成方法を探索する上で重要な研究となる可能性があるという。